千葉商科大学サービス創造学部
宮澤薫ゼミナール 企業プレゼン

2017年2月、千葉商科大学サービス創造学部の宮澤薫ゼミナールの2年生が、株式会社博報堂でプレゼンテーションを行った。テーマは「ヘアケアブランド『X』が2017年にさらに売り上げを伸ばすためのブランド戦略」。彼らが導き出したプランをプロフェッショナルはどのように評価したのだろうか。

 


議論を重ねてプレゼン資料を作成

同ゼミナールでは、企業の方々の協力のもと、実践力の向上を意識した活動が行われている。なかでも学生たちが企業に出向いてプレゼンを披露し、それを第一線で活躍するビジネスマンに評価してもらえる機会は、学生たちにとって貴重な経験となっている。
今回のプレゼンのテーマは、ヘアケアブランド「X」の売り上げを2017年にさらに伸ばすためのブランド戦略。昨年10月に課題が出されてから約4カ月、ゼミ生たちは4人一組、計5チームに分かれ、チーム毎に机上でのリサーチだけでなく、アンケートや店頭の市場観察などを行った。そしてその結果をもとに市場分析、ユーザー分析、競合分析を行って課題を抽出、それらを解決するための戦略や具体的な施策までを立案した。博報堂本社でのプレゼンに向け、学生たちは熱心に課題に取り組み、資料を作成したという。
 

熱心に事前準備に取り組む学生たち

 


実社会さながらの緊迫感の中
プレゼンがスタート

当日、学生たちは東京・赤坂にある博報堂本社ロビーに集合。一堂緊張した面持ちでプレゼン会場となる同社会議室へ向かった。
プレゼン時間は、各チーム20分。各チームからは、プロモーション施策のCM案動画や実演なども交えながら、以下のような提案がなされた。
 
1.金子チーム(金子大仁・張ヶ谷杏奈・今里美穂・八木彩花)
・10代~20代女性に向けて、商品の強みである機能面の認知度・理解度を上げるためのプロモーションを積極的に行う。
 
2.近藤チーム(近藤塁・布村沙耶・大野めぐみ・三瓶美菜)
・主なターゲット層を20代女子から女子高生まで拡げ、女子高生にダメージ補修の必要性を理解してもらえるよう様々なプロモーションを行う。キャッチフレーズは「GOマイシャンプー」。
 
3.田村チーム(田村雄飛・渡邉直人・塚田華衣・高間美沙貴)
・恋をしたい20代女性に向け、商品の強みである「香り」にプラスして「サラサラ」な仕上がりを重視した新商品を投入。コンセプトは「恋シャン」。
 
4.上杉チーム(上杉茉絢・高田菜奈・鈴木優香・奥川祐也)
・商品の特徴である「髪にやさしい成分」に着目。成分だけに留まらず、容器にも環境にやさしい紙パックを活用した「SPOPS」を起用し、地肌、髪への優しさを求める消費者に向けた商品とする。
 
5.新井チーム(新井美結・板橋知世・宮本康平・三宅勘史)
・商品の特徴的な成分であるアミノ酸の良さを伝え、シャンプー市場でブームを起こす。「プチプラ」アミノ酸系シャンプーの代名詞にする。
 
各チームの発表後に、審査員3人(※)から発表者にさまざまな質問が投げかけられた。彼らの回答も含め審査の対象とし、審査員3人、宮澤准教授、宮澤ゼミの3、4年生の有志が別室で審査に臨んだ。
 
※審査員
博報堂ブランドデザイン代表 宮澤正憲氏
博報堂DYメディアパートナーズダイレクトビジネスプロデュース一部部長 今野直哉氏
博報堂中部支社マーケティング部ストラテジックプラニングディレクター 三輪慎一郎氏
 


優勝は「田村チーム」の手に!

厳正な審査の結果、3.田村チームが優勝に輝き、4.上杉チームが準優勝を手にした。
審査を担当した三輪慎一郎氏は、「各チームとも面白い視点があり、プレゼンは皆さんよくできています」と全体の印象について述べた後、各チームのよかった点、あと一歩だった点など細部についても言及。優勝した田村チームについては、「商品の強みである香りを『恋』につなげている点がよかった」と語り、準優勝の上杉チームについては、「プロモーションが細かく練られていた点がよかった。『SPOPS』という容器を見つけてきた点も面白かった」と評した。
また、今野直哉氏は、「正解がないのがこの仕事の面白いところで、その中で自分たちの企画に説得力をもたせられるかが大事。今回は売り上げを『さらに』伸ばすための施策がテーマだったので、これまでの施策の中で、残すべきものと変えていくものの整理が重要でした」と話した。
宮澤正憲氏は、「一般のプレゼンの場合、10社以上で行っても勝つのは1社のみ。勝てば動く金額も大きい反面、負ければ何も得られません。一方で、採用される企画は誰が選ぶかによって変わるところもあるため、相手を考えてプレゼンテーションに臨むこともとても重要です。今回のプレゼンでは、『この企画って一言でいうとなんだろう』というのが比較的分かりやすいチームが上位になりました」と語った。
また、昨年10月に行われたオリエンテーションや中間報告の際に講師を務めた博報堂第一プラニング局 古庄康秀氏は、「限られた時間内に考えたこと全てを伝え切れなかったかもしれませんが、その悔しい思いを今後の糧にしてください」と今までの労をねぎらった。
 
こうした講評を受け、優勝した田村チームの高間美沙貴さんは、「企画を練っているときに突っ走ってしまったこともあって、自分の短所を思い知らされました。その分、この半年で成長できたと思います」と振り返った。また、「それぞれの意見がぶつかって雰囲気が悪くなったこともありましたが、いい結果で終われてよかったです」(塚田華衣さん)。「男の目線のデータは他のチームが使っていなかったので、入れたいなと思っていました。プレゼンはチームワークが一番大切だと思います」(田村雄飛くん)。「自分は調べ物が苦手な分、発表で頑張ろうと思っていました。発表前日にようやくみんなまとまって、いい結果が得られて本当によかったです」(渡邉直人くん)と、思い思いの感想を口にした。
最後に、担当の宮澤准教授は、「今期のゼミで一番大事なことは、解決しなくてはならないマーケティング課題を考えぬけたか、そして、チーム内の意見をきちんとまとめられたかという点です。また、先輩にもお世話になったと思いますので、来年は後輩たちにこの経験を伝えてください」と締めくくった。
 

優勝:「田村チーム」
優勝のコールを受け、みんな思わず涙がこぼれた。優勝チームに贈られた商品を手に喜びの一枚。

 

準優勝:「上杉チーム」
惜しくも準優勝だった上杉チームも終わってほっとした様子。「企画の中でやりたいことがありすぎたので、そこをきちんと伝えられるかに重点をおいて準備してきました。十分にまとめきれなかった点に悔いが残りますね」(右端:上杉茉絢さん)

 

プレゼン終了後、あたりはすっかり真っ暗に。学期を無事終えることができ、みんな達成感にあふれた笑顔を向けた。

 
 

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