千葉商科大学サービス創造学部
就職率5年連続99%超の裏側【後編】

千葉商科大学サービス創造学部は、2009年に創設し、2013年の学部1期生卒業以来、5年連続で就職率99%超を誇っている。Kicky!編集部では、なぜ就職に強い学部なのか、前後編にわたってその理由を調査し、前編ではキーマンとなる庄司祐子就職担当顧問にインタビューを行った。今回紹介する後編では、内定を得た学生たちに、就職活動までの取り組みや活動の中で感じた手応えについて話を聞いた。

 


ひとりで悩むなら相談を

2017年6月7日発行の日経CAREER MAGAZINE『価値ある大学2018年版 就職力ランキング』(日経HR発行)では、サービス創造学部が商・経営系の第14位にランクインしており、2013年の1期生卒業時以来、つねに高い就職率を誇っている。2018年春卒業予定の学生もまた庄司就職顧問の指導のもと、10月23日現在、就職希望者のうちの87.1%が内定を得ているという。第一希望の地方銀行に内定が決まった大熊拓也くん(サービス創造学部4年)もそのひとり。3年生の時はサッカー部のキャプテンを務めるかたわら、コミュニティカフェ・プロジェクトの副代表も行っていた。「寝る時間もなかったですね」と、大熊くんは当時を振り返る。
2016年春学期からは、庄司就職顧問が指導する「マナー実践」や「ディスカッション実践」(*)も受講。「実際の面談の時もグループディスカッションがあり、有名大学の学生も同じグループにいましたが、人の意見を尊重しつつ、自分の意見を述べることができました。この講義を受講したことで、臆することなく、自分が率先してグループワークやディスカッションを行うことができたように思います」と実りのある講義だったと話す。
その一方で、6月頃から庄司就職顧問との個人面談も行った。
「庄司先生が講義の終わりに“質問があったら来てください”と言ってくださったので、就職活動に不安を感じていた僕はすぐに行き、週1回のペースで面談してもらっていました。」
最初は「食べることが好き」という理由から食品商社の営業職を希望していたが、「地元に帰りたい」、「安定した仕事に就きたい」という思いが強くなり、インターンシップではさまざまな業種を見て回った。「自分自身、細かい作業は苦手と思っていたのですが、庄司先生と面談していたら、それは自分の思い込みだと気づかされたんです。3月くらいに学校で行われた合同説明会にも参加し、興味のある企業を受けていきました。結果的に、第一志望の会社に決まったので、すごく満足しています。しかしスタートはこれから。今は入社までに必要と言われている資格取得のための勉強を頑張っています」と言う。「庄司先生は、自分が悩んでいる課題を丁寧にクリアにしてくださったので、不安を抱え込むということはなかったです。ですから、後輩の皆さんにもひとりで悩んでいるなら、庄司先生のところに行ってアドバイスをもらった方がいいと声を大にして言いたいですね」と後輩に向けてメッセージを送った。
 

笑顔が印象的な大熊拓也くんは、「面接官の方にも笑顔がいいとほめられました」と照れながら話す。

 


仕事することだけが人生の100%ではない

就職活動のスタートが早い学生に対し、4年生の6月時点では活動をしていない学生もいた。音楽業界の就職を希望していた田中そのかさん(同4年)だ。
「庄司先生の講座も履修していましたが、なぜか大学の力に頼らなくても就職できるかもと過信してしまっていた部分があったんです。音楽業界でアルバイトをしていたので、その伝手でなんとか就職先を紹介してもらえると思っていました。でも、なかなかタイミングよく見つからず、結局、6月になっても就職の目途が立ちませんでした。」
そんな時、ゼミナール訪問をしていた庄司就職顧問と出会う。現状を伝えると、「すぐにカウンセリングに来てください」と言われることとなり、しぶしぶ面談予約を入れた。
「音楽が好きだったので将来仕事にできたらいいなと思って、音楽業界でアルバイトをしていました。でも、途中から、自分の力不足を感じ、いったい自分はこの業界で何がしたいんだろうと分からなくなってしまって。庄司先生とお話しするまでは、自分がやりたい業界に行くことだけが就職活動のゴールだと思っていました。でも、カウンセリングをしてもらううちに、仕事することだけが自分の人生の100%ではないことに気が付いたんです。結婚をするかもしれないし、その後、子育てをするかもしれない。趣味を仕事にしたら、もしかしたら好きなことが嫌いになってしまうかもしれないと考えるようになったんです。その人生プランのきっかけをくれたのが庄司就職顧問でした」とめざす業界の変更理由を明かす。
庄司就職顧問にヒアリングしてもらいながら興味のある会社を見つけ出し、8月に内定を得た。それは就職活動を始めて2カ月後のことだった。「内定をいただいたのは、繊維製品の専門商社と芸能事務所の2社でした。最終的に繊維製品の専門商社に決めたのは、自分が全く知らない世界を一から学んでいくのが楽しそうだなと思ったからです。自分の能力では内定をいただけると思っていなかったのですが、会社としては私に期待してくれていると感じましたし、その期待に応えたいと思いました。また、社長が“将来、世界にハンカチ文化を広めたい”とおっしゃっていたのですが、大きな目標を持って社員が一丸となって仕事をすることにやりがいを感じそうだなと思ったことも決めた理由のひとつです」と力強く語った。
「当たり前のことですが、就職活動を通じて反省をすることがすごく重要だと気づきました。いろいろ経験をしても、何を学んだか、何がよくなかったか、その時に振り返って考えないといい思い出だけで終わってしまうんですよね。それでは成長ができないので、社会人になってもしっかり意識していこうと思っています。庄司先生の面談を受けたことで、自分ひとりでは見つけられなかった可能性を引き出してもらえました」と笑顔を見せた。
 

「庄司先生には頭が上がりませんね。“老舗の企業に総合職で内定いただけた”ということで、両親も大変喜んでくれています」と田中そのかさんはうれしそうに語った。

 


自分の長所を引き出してもらえた

「そもそも就職活動に焦りを感じていなかったので、3年生の7月頃に行われた就職ガイダンスにも参加しませんでした。そんな時、庄司先生から直接電話をいただいて一対一の面談をすることになったんです。そこで初めて、自分が出遅れているということに気づきました」と話すのは、Uターン就職を希望し、鉄道会社への就職が決まった圓田慎也くん(同4年)だ。それから、月に1度、庄司就職顧問のところに通うことになった。
「まずは履歴書を何度も添削していただき、実際に動き出す頃にはしっかりとした履歴書が完成している状態でした。そのため、説明会や面接のことを考える時間に費やすことができ、余裕が持てました。」
大学1年生の時に有志を募って、体育会系の野球部を設立したという圓田くん。最初10数名で始めたが、彼が部活を引退するまでには40人くらいの規模に成長した。「部活をつくることがすごい事だなんて全然思っていませんでした。でも先生から履歴書にそのことをしっかり書いた方がいいと言われたんです。結果的には、企業の方からもそのことに関して、質問をされることが多かったですし、内定式でも面接官の方に“野球部の子だよね”と覚えてもらえたのもうれしかったです。自分ではリーダーシップがあるとは思っていなかったのですが、そこも庄司先生に気づかせてもらった感じですね」と話す。
スポーツジムでインストラクターのアルバイトをしていたため、スポーツジムへの就職も考えたこともあったというが、「結果的に鉄道会社に内定をいただけてよかったです。いろいろチャレンジして、ゆくゆくは新しいサービスを提供できるようになりたいと思っています」と胸を張った。

 

「実は就職を始めた当初は、何がやりたいのか明確に定まっていなかったのですが、庄司先生と話したり、説明会に行ったりすることによって、徐々に固まってきました。この会社に内定をいただけて本当によかったと思っています」と圓田慎也くんは、顔をほころばせた。

 


期間を決めて行った就職活動

中小企業の事務職に内定した宮本美波さん(同4年)は、ゼミの先輩からのアドバイスで就職課の門を叩いた。3年生の11月に初めてインターンに行き、学内で行われる就職セミナーにも積極的に参加してきたという。
「今年の3月から週1回、庄司先生のところに面談に行っていました。当初販売職を希望していたのですが、最終選考にはいくもののなかなか内定まではもらえなかったんです。庄司先生からのアドバイスで、ほかの業種にも目を向けてみることにしました。最終的には7月にメーカーの事務職で内定をいただきました。」
高校時代にパン屋のアルバイトをしたことがきっかけで、新しいサービスを創造したいと、同学部に入学した宮本さん。さらに、大学時代にはテーマパークで接客のアルバイトを行っていたこともあり、販売職へのこだわりがあったという。
「庄司先生から“何をするのが好き?”と聞かれたんです。接客も好きだけれど、黙々とひとりで何かをすることも嫌いではなかったので、それを伝えたところ、業種や職種の幅が広がっていきました。20社ほどの説明会に参加し、自分なりに業種・職種研究も行っていました。先生のアドバイスや業種・職種研究の結果、最終的には行きたいところに内定をいただけたので満足しています。」
就職活動の期間を決めていたというのも、宮本さんらしい就職活動のポイントだ。
「夏休みまでに就職活動を終わらせたいと思っていたので、就活アドバイスの学内セミナーにも参加しました。ですが、学部を一番よく分かっているのは庄司先生だったので、とくに的確なアドバイスをいただけたように思います。何をやればいいかわからない人ほど、庄司先生のところに駆け込んだ方がいい。私も最初は履歴書すら準備をしていなかったのですが、気軽に相談しにいったことから始まりましたから(笑)。部品などをつくっているメーカーですが、やったことがないことをやりたいと思っていたので、今から楽しみです」と満足そうな表情を見せた。

 

宮本美波さんは「私はメールで庄司先生に履歴書を添削してもらったのですが、いつも丁寧に返してくださいました。雑談の中から、自分の性格とか長所とか理解してくださっていたのがうれしかったです」と頬を緩ませた。

 


「就職のサービス創造学部」と呼ばれて

学部設立当時、元就職委員会委員長でもあったサービス創造学部の今井学部長は、就職に強い学部と呼ばれることをどのように感じているのだろうか。「学部1期生が3年生となった2011年、当時就職委員会委員長であった私は吉田学部長より『学部開設初年度に“チャレンジャー”として入学してくれた1期生の就職がうまくいくよう、支援体制を万全に整えてほしい』と指示を受けました。さっそく、就職指導経験の豊富な石井泰幸教授(現就職委員会委員長)とともに就職委員会を立ち上げ、どのような支援体制が有効なのか検討しました。その結果、就職活動を経験した学部の先輩がいない1期生には、情報不足による不安を取り除き、安心して就活を続けられる状況をつくりだすことが重要との結論を得ました。そこで、学部専任の就職顧問の任用を発議し、それを就職マッチング実務に長けた庄司祐子氏にお願いすることにしたのです。何ごとにも物おじせず“やってみる”を実践し続けた学生の努力と庄司就職顧問の経験に裏打ちされた親身の支援が相乗して、1期生以来、就職内定率は99%を超えています。これら連続5年にわたる高い内定率が日経CAREER MAGAZINEでも評価され、お陰様で周囲から「就職のサービス創造学部」と呼ばれるようにまでとなりました。企業の採用の需要に関わらず、引き続き高内定率を維持できるよう、教職員が一丸となって就職支援を実践します」と抱負を述べた。

 
 
*マナー実践:ビジネスマナーを学んだり、自己分析や業界・企業研究、履歴書の作成をしたり、集団面接や個人面接のロールプレイングをしたりする講座。
 
*ディスカッション実践:コミュニケーション能力やリーダーシップ、チームワークを身につけるためのグループディスカッションを行う。
 
 
【前編】 就職力のヒミツ

 
 

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