千葉商科大学サービス創造学部
ブライダルセレモニー・プロジェクト

千葉商科大学サービス創造学部では、2011年から「OUR WEDDINGプロジェクト」と銘打って、プロジェクトに所属する学生たちがブライダルショーを企画・運営してきたが、今年度は『ブライダルセレモニー・プロジェクト』が発足。2018年2月9日、同プロジェクトが模擬結婚式を執り行った。テーマは「大学内で挙げる結婚式」だ。新しいことづくしのなか、今回、学生たちはどのようなサービスを創造したのだろうか。

 


「新しいことにチャレンジしたい!」メンバーが集結

ブライダルセレモニー・プロジェクトの代表を務めた村口明日香さん(サービス創造学部3年)は、1年生からブライダルプロジェクトに参加。3年生になったら「集大成となるようなものに仕上げたい」と考えていた。しかし、プロジェクトがこれまでの流れをくむ「ブライダルファッションショー」(*)と、結婚式に焦点を当てた新しい「ブライダルセレモニー」のふたつに分かれることになって戸惑ったという。
「ずっとブライダル業界に憧れていましたが、これまで業界で何をやりたいのかを突き詰めて考えたことはなかったので、ふたつのうちのどちらを選択すべきかギリギリまで悩みました。でも、以前結婚式場でアルバイトした時に、結婚するふたりのために祝福しているみんなの姿に感動したこともあって、自分はファッションに興味があるのではなく、素晴らしい結婚式をつくりたいんだと気づきました。しかも、新プロジェクトなら新しいことにもチャレンジできるし、勉強になると思ったんです」とブライダルセレモニー・プロジェクトを選んだ当時のことを振り返った。
最終的にプロジェクトには3年生6人、2年生8人の合計14人。チャレンジ精神が旺盛な学生たちが集まった。
 

プロジェクト代表の村口明日香さん(写真左)は第2部の演出も務めた。「自分が参列者になったことを想定して、一般的な結婚式ではしないけれど参列者が楽しめる演出を2,3年生みんなで考えました。」
 


サービス創造のためには十分な知識とノウハウが不可欠

ブライダルセレモニー・プロジェクトについて、担当教員の今井重男サービス創造学部学部長は、「今回のプロジェクトでは、僕から『大学のキャンパスで結婚式を挙げるサービスを創造する』という課題を出しました。当初は実際に新郎新婦を公募して結婚式を挙げる予定でしたが、なかなか見つからなかったので、将来のプロジェクトの発展のために、たたき台になるような模擬結婚式を行うことにしました」と新設プロジェクトのいきさつについて語る。
模擬結婚式の会場選びは、学生たちが大学内を巡って、「The University HUB」の地下会議室に決めた。これまでブライダルプロジェクトは、同大学の本館7階にあるホールで行われてきたが、本プロジェクトでは場所も一新した。
模擬結婚式は2部制で開催。第1部では結婚式を学ぶ・知ることを目的として一般的な人前結婚式を行い、第2部では大学のキャンパス内での新しい挙式スタイルを提案した。
第1部の演出を務めた新藤恵美さん(同3年)は、「細かな部分まで参列者によく見えるように席を横長に配置しました。今は『ナシ婚』といって挙式しない人も増えていますが、結婚式をより深く知ることで、いいものだなと思ってもらいたいです」と熱く語る。
第1部、第2部を通して司会を担当した石栗愛理さん(同2年)は、「動画を見て結婚式の司会を研究してきました。なるべくゆっくり、また、明るい感じが伝わるように語尾を上げて話すように心がけています。また第2部は、親しみを演出するために『お母さんといっしょ』のお姉さんのような口調を意識し、結婚式の二次会のノリで学生がふざけているように見えないようにしたい」と話し、本番に挑んだ。
今井学部長は「学生は結婚式に対する知識や経験が圧倒的に少ないので、第1部を通して基本的な知識の習得や挙式を執り行う側の姿勢を学ばせました。一方で第2部は、たとえば挙式会場を図書館にするなど、もっと大学らしさを追求した自由な発想があってもよかったのではないかとは思っています。ただ、彼らが出した、今日この場所で行うこの形という答えは尊重したい」と話した。
 

席を横長に配置し新郎新婦との距離を近くすることで、結婚式の細かな流れをよく見えるように工夫した。
 
 


今後の「たたき台」としての模擬結婚式

第1部終了後、休憩を挟んで第2部がスタート。第2部は高校時代からのつきあいの新郎新婦が、友達に囲まれて大学のキャンパス内でアットホームな挙式を行うという設定だ。式次第は、新郎新婦入場→新婦から新郎へラブレターを渡す→友人への誓いの言葉→独身卒業証明書の授与→腕時計の交換→ファーストバイト→帽子トス→ウェディングツリー渡し→退場という流れで約30分程度。
「一般的な結婚式では新婦は父親と一緒に入場しますが、第2部では新郎も新婦も大学の式服で友達と一緒に入場します。また、指輪の交換ではなく腕時計の交換に変えたりするなど、学生らしさや今までにない形を打ち出しました。」(村口さん)
終了後、今井学部長は「今回は点数をつけるなら30点。クオリティとしてはまだまだですが、この模擬結婚式を挙げたことで、学生一人ひとりが足りなかったことを考え、次の学習につなげてほしい。今回は将来に向けてスタートを切った、という感じですね」と厳しい採点ながらも、新たなサービス創造に向け、学生たちの頑張りに期待をにじませた。
 

第2部の入場衣装は大学の式服に。式のイベントのひとつであるブーケトスの代わりに角帽の中にチョコレートを入れて投げた。また、参列者に見えるよう、大きなラブレターを手渡した。
 
 
(*)ブライダルファッションショー・プロジェクト「Happiness~価値ある瞬間をあなたに~」
 
 


【ブライダルセレモニー・プロジェクト Photo Album】

リハーサル前にメイクがスタート。
第一部の結婚式のウェルカムボードも本物さながらの手づくり。
壁一枚を使って広い空間を第1部、第2部の挙式会場に分けた。雰囲気を変えるため1部側の壁は白に統一し、2部側は学校をイメージした装飾に。
装飾班のリーダーで副代表の小松樹くん(同3年)も1年生からウェディングプロジェクトに関わってきた。「装飾はもちろん音響・照明も掛け持ちしていたので頭の切り替えが大変でしたね。」
広報班の力作は、新郎新婦に渡すメッセージボード。高橋侑里さん(同2年/写真右)は「協力してくれた方々へ精一杯の感謝の気持ちを込めてつくりました」と話す。田村彩華さん(写真左)は、2年生ながら広報班のリーダーを務め、自ら志願して幹部会にも出席。「黙っていて後悔はしたくなかったし、その方がよりよいものができると思ったんです。」
1年生からウェディングプロジェクトに関わり、2年生では幹部も務めた阿部翔太くん(同3年)は、第2部の映像づくりに力を注いだ。「今日の模擬挙式を本物の結婚式だと錯覚させられるような映像ができあがりました。今年はとくに、周りの人に支えられて自分があるということを実感しました。3年続けてきたからこそ感じられたことです。」
受付スタート。ブライダルファッションショー・プロジェクトから助っ人も駆けつけた。
寒風吹きすさぶなか、白いシャツ一枚で、入口の外に立って、参列者を案内・誘導する。
第1部演出の新藤恵美さん(同3年)は、模擬挙式前にスタッフの最終チェックを行う。
第1部の花嫁の父役は、昨年に続き今年も担当教員の今井学部長(左から2人目)。
第1部は白で統一された壁をバックに指輪の交換を行った。
自ら立候補して司会役を射止めた石栗愛理さん(同2年)は「緊張するタイプですが、終わった時の達成感が好きなんです」と話す。
第2部の新郎入場。リアルを追求するため、新郎新婦両人とも本当の友人と一緒に入場した。
第2部は卒業式をイメージしていることから、結婚証明書を「独身卒業証書」に変えて新郎新婦に渡した。
指輪の交換の代わりに、同じ円い形ということで時計の交換に。