千葉商科大学サービス創造学部
千葉ジェッツ・プロジェクト「千葉商科大学マッチデー」
2017年12月23、24日に、千葉県・船橋アリーナで行われた千葉ジェッツ対名古屋ダイヤモンドドルフィンズの公式戦は、「千葉商科大学マッチデー」として開催された。毎年、このマッチデーは同大学サービス創造学部の公式サポーター企業でもある千葉ジェッツホームゲームにおいて、同学部の「千葉ジェッツ・プロジェクト」のメンバーが、会場内イベントの企画・運営を行っている。集客力アップのために、29人のメンバーが考えた新たな“サービス創造”とは。
- 1日目の企画を担当した染野真琴さん(左)と米内紗菜さん(ともに同2年)。染野さんは、「サマンサベガさんと打ち合わせしたのですが、すごいスピードで話が進んでいって理解するのが大変でした」、米内さんは、「自分が質問をして時間を割いていいのかなとか考えていたら、打ち合わせが終わっていました。でも、分からないことはそのままにしてはいけないので、これは今後に向けての反省ですね」とそれぞれ社会の洗礼を受けたことを明かした。
- 2日目の企画ディレクションを担当した斉木愛美さん(左)とプロジェクト全体のリーダーを務めた和氣裕之くん。「11月のホームゲームの際にこの会場でプレイベントを行ったのですが、情報共有ができていないことや、クオリティの低さが判明。そこから立て直すのに苦労をしました」(斉木さん)、「マーケティングのゼミナールに所属していながら、どうしたらお客様に喜んでいただけるかを考えてもなかなか案が出てきませんでした。ひとつの視点だけで物事を考えるのではなく、広い視野を持って取り組むことが大事だと痛感しました」(和氣くん)とそれぞれ大きな学びを得たようだ。
- 芳村虎太郎くん(同2年)は、「プロジェクト内の人間関係はもちろん、今回は、千葉ロッテ・プロジェクトやジェフ千葉・プロジェクトのメンバーにも手伝ってもらって、プロジェクト同士の支え合いも重要だと感じました。また、何事も進めるスピードが遅かったことは、来年に向けて修正が必要な点ですね」と振り返った。
- 左から岡田直也くん、森田健弘くん、清田悟くんの3年生メンバー。「サービスマネジメント論という講義をはじめ、プロジェクト活動に役立つ講義が多くあると感じました」(岡田くん)「プロジェクトをやっていると、企画書や絵コンテを書く場面がありました。やったことがないからできませんではなく、自ら調べて何とか成果を出そうとする姿勢を身につけることができたのはよかった点です」(森田くん)、「人見知りの学生も多かったですが、みんながもっと積極性をもてれば、プロジェクト全体も変わったと思っています」(清田くん)と、2日間終えて、それぞれ感想を述べた。
- 佐藤博紀特命講師は、「千葉商科大学とは、自分がプレイヤーの頃から、お付き合いさせていただいて今年で7年。チームの成長をともに支えていただいています。マッチデーは、千葉商科大学にとっても大学をPRしたり、学生たちの活動を発表したりする場ですが、一方で、我々にとってもチームの認知がさらに広まっていくきっかけなので、こうした連携はすごくありがたく思っています」と語る。
- フリースローイベントで司会を務めた千葉ロッテ・プロジェクトの上杉さんは、「緊張しました。ロッテのマッチデーでは自分たちは運営だけでしたが、今回は、フリースローの企画・運営にもかかわり、出演もしたので、両立が難しかったです」と責任感があったことを明かした。
- フリースローイベントで3本シュートを決めた吉田裕太選手。「僕らが会場に来て盛り上がってくれたのは嬉しかったです。ロッテも熱い声援を送ってくれますが、バスケの会場は選手と観客が近いこともあり、選手たちは幸せだと思いますね」とコメントした。
- 選手や球団マスコットがカラーボールを投げて、それを受け取ったブースターが特別なプレゼントを手にすることができるプレゼント企画。吉田選手は、「熱い声援の中、プレーできるのは、いいことだと感じました」とイベント後に語った。
「サマンサベガ」とのコラボレーション
毎年、2日間にわたって開催されている千葉商科大学マッチデーは、今年も千葉ジェッツ・プロジェクトのメンバーが、昨年を超えるイベントづくりをめざした。昨年は○○女子にちなみ、「ジェッツ女子」(*1)というムーブメントをつくったが、今年はそのジェッツ女子に付加価値をつけた「スポかわ(スポーツ×かわいい)」をテーマに決めた。
学生たちは、公式サポーター企業である株式会社サマンサタバサジャパンリミテッドが展開するブランドの中でも、大人のカジュアルスタイルに合うデザインを展開している「サマンサベガ」と、千葉ジェッツにコラボ商品開発を提案。この提案に両社が共鳴し、「千葉商科大学×サマンサベガ×千葉ジェッツ」で決定した。それを記念し、初日は「ジェッツ女子に、お洒落でカッコいい服装で試合観戦をしてほしい」という思いを込めてファッションショーを企画。千葉商科大学PRブースに、同ブランドのバッグを並べるなど、サマンサベガとのコラボ仕様のブースデザインにして、PR活動も行った。
ファッションショー企画の概要がまとまったのは9月のこと。8月に提案していたサマンサベガとのコラボが11月になって正式決定し、そこからコンセプトも大きな変更が必要だった。企画を担当した染野真琴さん(サービス創造学部2年)は「最初は、単純にジェッツ女子のファッションショーをしようと思っていましたが、サマンサベガさんとコラボできることが決まり、それなら洋服とバッグを借りて、そのことをアピールした内容に変えようということになりました。できれば、マッチデーでコラボグッズを販売したいと考えていたのですが、さすがにスケジュール的に難しく、シーズンオフの目玉企画としてどんなデザインのどんなグッズがいいかを、ご相談している最中です」と語る。
学生にとってジェッツ以外の企業との打ち合わせは初めてのことで、「準備不足」だったことを明かす。同じく企画の米内紗菜さん(同2年)は、「(担当教員の)中村(聡宏)先生から、打ち合わせ前日にパワーポイントで資料をつくってと言われたんですが、そもそも打ち合わせにどんな資料が必要かも考えていませんでした。そういうことも初めて学びましたし、サマンサさんから千葉ジェッツはどのようなチームかと聞かれて気づいたのですが、チームのことをもっと深く理解してから打ち合わせに臨まないといけなかったと反省しました」と話す。また染野さんも「どんなことを聞かれるか想像して、それに対してすべて答えられるくらい準備が必要だと思いましたし、プレゼンテーションをする力も必要と痛感しました」とコメント。
「”ジェッツ女子=千葉商科大学サービス創造学部”というイメージを定着するためにも、来年度も続けることになると思いますが、一方で、新しさを出すためにはどうしたらよいか考えなければならないです」(染野さん)、「学生ならではという案をひとつでも多く出して実行したい。また、メンバーもバイトや他の活動が忙しくて打ち合わせに参加できないこともあったので、プロジェクト全体で案を出し合うための方法なども改善の余地があると思います」(米内さん)と、それぞれ次回の展開も見据えた。
*1
ジェッツ女子を広めたい!―千葉ジェッツ・プロジェクト
2日目は3球団合同企画
2日目は、同学部が誇る3つのスポーツビジネス・プロジェクト(*2)が連携した企画を実施した。千葉ロッテマリーンズのマスコット「リーンちゃん」、ジェフユナイテッド市原・千葉マスコット「ジェフィ」に加え、千葉ロッテマリーンズ「イケメン5」から、吉田裕太選手と佐々木千隼選手が来場。フォトブースでの撮影会や、さらに、ハーフタイムでは、2選手と一般公募で選ばれた4人のジェッツ女子がフリースローにチャレンジする企画も行われた。
イベントに参加した吉田選手は、「もうちょっとボールが入ったら、格好がついたのかなと思います(笑)。オフシーズンになると、僕らは色々なイベントに参加するのですが、マリーンズの職員がやってくれているのと同じように、学生さんたちの力でイベントをつくりあげていることはすごいなと感じました」とコメント。一方佐々木選手は、「フリースローは、見ていると簡単そうなのに、実際にやってみると難しかったですね。イベントも学生さんたちがスムーズに進行していたので、素晴らしいと思いました」と学生たちを称賛した。
2日目の企画を取りまとめた斉木愛美さん(同2年)は、「一人ひとりが自分の果たすべき役割をしっかりできたので、今日のイベントがうまく運んだと思っています。次は私たちが指示する立場になるので、自分がきちんと理解して発信する力が大切。中村先生からは情報共有を徹底しなさいと耳にたこができるくらい言われましたし、情報共有ができていないとどうなるか今回身をもって体験できたので、そこは今後に向けての反省点ですね」と振り返り、ほっとした表情を見せた。
*2
スポーツビジネス・プロジェクトとは、ジェッツ・プロジェクトをはじめ、同学部の公式サポーター企業のプロ野球球団の「千葉ロッテマリーンズ」の千葉ロッテ・プロジェクト、同・プロサッカーチーム「ジェフユナテッド市原・千葉」のジェフ千葉・プロジェクトの3球団と連携したプロジェクト活動のことを指す。
集客につなげるため、SNSを積極的に活用
広報チームは、TwitterやInstagramなどSNSを積極的に使った情報発信や、学内のポスターの掲示などによって集客を増やす活動を行った。たとえば、メンバーが着用していたスウェットの背中には、プロジェクトのSNSのQRコードをプリントし、フォロワーを増やす活動もその狙いのひとつだった。千葉ジェッツで選手やヘッドコーチを務め、現在同チームのゼネラルマネージャーであり、本プロジェクトの特命講師を務める佐藤博紀氏がサンタクロースの姿で登場し、同大学の学生たちとともに出演した大学のCMはSNSでも大きな話題に。会場のブースター(バスケットボールファン)からも、「佐藤さん、サンタのCM観たよ」と声をかけられていた。また、ジェッツの選手に女子学生が突撃インタビューして、ジェッツ女子をアピールするという、Youtube「ジェッツチャンネル」の企画動画を、試合開始前に会場内のスクリーンで放映するのも、広報活動の一環として行われた。
広報リーダーの芳村虎太郎くん(同2年)は、「今回はとくにSNSで事細かに情報発信したことは新たなサービス創造でした。しかし、自分たちがいいと思っていた文章や情報でも、ユーザーのリアクションが得られなかったこともありました。まだまだ認知度は低いですし、力不足と感じました」と話す。さらに、「疲れが出てきて、大学PRブースでだらだらしてしまう場面も見られました。大学の印象が悪くなってしまうことにつながるので、皆が程よい負担で楽しみながら活動できる環境にする発想も大事だと思いました。また、ジェッツ女子は同世代というよりも小さい子供が多いので、どこにターゲットを絞って推進していくのかしっかり練ることも必要です。そういう意味ではマーケティングの授業での学びをもっと生かせたのではないかと感じています」と反省を口にした。
「まとめるのが難しかった」と語るのは、今回2年生でリーダーを任された和氣裕之くん。「春学期が終わった時点では、メンバーの半分くらい話したことがなかったのですが、自分から積極的になって声をかけることで誰とでも相談しあえる仲になったと思います。でももちろん簡単には進まないことも多く、そんな時に3年生の3人が助けてくれました」と言う。一方で、情報共有ができなかったことを反省点に挙げた。「社会に出たら情報共有は当たり前のこと。でも自分が代表だからとひとりでやらなければと空回りしてしまったこともありました。メンバーとの絆が深まったので、来年度もこれまでになかったようなことに挑戦できたらいいです」と抱負を述べた。
活動を通じて得たそれぞれの学び
29人のプロジェクトメンバー中、3年生が3人と少人数だった今年のチーム。そのひとり、岡田直也くん(同3年)はプロジェクトの最上級生として、「やる気がある学生と積極的ではない学生がいると、どうしてもやる気のある学生に仕事が集中してしまいました。3年生として仕事のバランスを取れなかったと思います。また、社会人になったら納期に間に合わないというのはありえないことだと思うので、改めて”時間”の重要性に気づかされました」と話すと、森田健弘くんは、「活発に意見が出る反面、目標をどのように設定するか、そのためにどのように動かねばならないかということをあまり考えられていなかった。その結果、関わってくださったさまざまな企業の方、ジェッツのみなさん、先生方に迷惑をかけてしまいました。また、コミュニケーション不足が一番の反省点。ゼミでは、経営組織論を学んでいますが、コミュニケーションをうまくとることができなければ、いくらやる気があっても雰囲気が悪くなってしまって、仕事も進まなくなってしまうということが活動を通じて身をもって理解することができました」と反省を述べた。
今回のプロジェクト活動を100点中5点と厳しく自己採点したのは、プロジェクト代表の清田悟くんだ。「今回の成果目標は、SNSのフォロワーを倍増することだったのですが、それができなかった。他にやるべきことが多かったというのはありますが、それは言い訳でしかありません。今回のプロジェクト活動の中で、デジタルマーケティングの講義も受けさせていただき、SNSではどのようにしたら効果があるとか教えていただいたのですが、その学びも十二分に生かすことができませんでした。また、秋学期にリーダーを2年生にバトンタッチしながら、結局彼らにすべてを任せきれず混乱させてしまった」と反省を口にする。そのうえで今後に向けて、「やるべきことはすべて逆算して考えることや、自分自身、冷静になって相手の意見を聞くなど、初心に戻って考えることが大事だと思いました。今年のようにならないためにはどうしたらいいか真剣に考え、後輩に伝えていきたいです」と振り返った。
トータルの成長を感じて
佐藤特命講師は、2日間の学生たちの活動を通して、「全員で一致団結して取り組めたことはよかったと思っています。ジェッツ女子は2年目となりますが、千葉商科大学のプロジェクトが提案し続けたおかげで、会場が真っ赤に染まり、裾野が拡大したということが感じられた2日間でした。サマンサベガさんとのコラボ企画も本格的に始動してさらにそれが広がっていくと思いますし、書籍の出版企画にもかかわるなど、これまではマッチデーの2日間だけで終わってしまっていたことが、継続しながらできるのは、1年を通じたプロジェクトに成長していると感じています。私はプロジェクトにかかわらせてもらって2年目ですが、反省や課題などが次の代にきちんと伝わっていくようになるといいですね。文化祭のようなものからきちんと興行として出せるものに変わってきた点は、メンバーが頭と心、トータルで成長していることを感じました」とメンバーをねぎらった。
また、担当教員の中村専任講師は、「今年度から、(千葉ロッテ・プロジェクト、ジェフ千葉・プロジェクトに続き)千葉ジェッツ・プロジェクトも担当することになり、私自身、試行錯誤の1年でした。29人のメンバー中、3年生が3人と少なく、そのうち昨年度の活動を経験しているのが2人だけ、というフレッシュなメンバー構成。その分、自ら学ぶのではなく受け身の姿勢が目につき、行動に移すまでに時間がかったり、情報を共有するコミュニケーションに苦労したりと、私自身も難しさを感じ続けた1年でした。それらについて、明確な改善に至らなかったことは、ひとえに私の指導力不足で大いなる反省点です。その一方で、サマンサベガとの商品開発企画や、東邦出版との書籍出版企画など、学生たちのアイデアがさまざまな企業と連携して形になり始めたことは、素晴らしい成果だと思います。苦労や困難によって人は成長するもの。苦しみが多かった学生ほど得たものも大きいと思います。プロジェクトチームのメンバーは入れ替わりますが、一人一人それぞれの今後の飛躍に期待しています」とメッセージを送った。
初日は78-72、2日目は88-85と、試合は一進一退の攻防となったが、結果的には千葉ジェッツが2戦連続逆転勝利を果たした2017年のマッチデー。 学生ひとり一人の反省が、今後、新たなサービス創造を生み出す原動力になるに違いない。
【動画】
▶CHIBA JETS CUC X’mas MATCHDAY 2017
▶CUCxJETS×Samantha Vega CM
▶千葉ジェッツ公式YouTubeチャンネル 「ジェッツ女子横断幕を選手にプレゼント」
【「千葉商科大学マッチデー2017」Photo Album】