千葉商科大学サービス創造学部
千葉ロッテ・プロジェクト「千葉商科大学マッチデー2017」
2017年8月31日に、ZOZOマリンスタジアムで行われた千葉ロッテマリーンズ対オリックス・バファローズの一戦は、千葉商科大学創立90周年を来年に控え、「千葉商科大学89(ヤキュウ)周年記念マッチデー」と題して開催された。マッチデーでホームゲームを盛り上げるための企画・運営を担当したのは、同大学サービス創造学部の千葉ロッテ・プロジェクトのメンバー30人。今年は大雨と強風で開催が危ぶまれたが、午後から雨も上がり、20,000人近い観客とともに試合を盛り上げた。
千葉商科大学×マリーンズのオリジナルグッズを販売
千葉ロッテ・プロジェクトとは、同学部のスポーツビジネスプロジェクトのひとつで、同学部の公式サポーター企業でプロ野球球団の「千葉ロッテマリーンズ」と連携し、リアルなスポーツビジネスを学んでいる。今年のプロジェクトメンバーは、マッチデー開催前の7月末にマリーンズ戦士たちの“魂の言葉”を集めた『千葉ロッテマリーンズ語録集 下克上! 鷗録 (アスリートの言葉シリーズ #005)』(千葉ロッテマリーンズ編著/セブン&アイ出版刊)の書籍制作・営業活動にもかかわり、球団を活性化させるための取り組みを行ってきた。(*)
今年のマッチデーではその書籍をはじめ、大学やマリーンズにちなんだTシャツやタンブラーなどメンバーが考えたオリジナルグッズも販売するほか、同学部の公式サポーター企業でもあるプロバスケットボール「千葉ジェッツ」やプロサッカーチーム「ジェフユナテッド市原・千葉」にも協力を仰いで、選手のサイングッズなどがもらえる抽選会などを開催。その抽選会への参加者による募金とグッズや本の売上利益は、今年も東日本大震災の被災地へ寄付することとなった。中でも、2種類のタンブラーにいたっては試合中盤に完売するほどの人気ぶりだった。
グッズ制作を担当したクリエイティブチームの齋藤芽生さん(サービス創造学部3年)は、「男女関係なく、日常でも使っていただけるグッズは何かと考えた時にタンブラーを思いつきました。マイボトルが若者の間で流行っていて、エコにもいいし、タンブラーならお手頃価格にできるという案を、同じチームの鈴木潮里さんが出してくれたのがきっかけでした。さらに、グッズを通してお客様にマリーンズを好きになってほしいという狙いがありましたので、マリーンズにちなんだデザインで、とくにインスタ映え(Instagramで映える写真)するものにしたいと思い、メンバーとも相談して考えました。でも、デザインすることはもちろん、モノづくりの大変さが身に染みて分かりました。大学生が考えたグッズが完売するほど甘くないとも思っていたので、驚くと同時にうれしさで泣きそうです。自分自身の自信にもつながりました。また、商品紹介の看板も描いたのですが、自分が必要とされている役割があったのもうれしかったです」と胸を張った。
タンブラーづくりを提案した鈴木潮里さん(サービス創造学部2年)は、「先輩からグッズを売るのは難しいと言われたんですけれど、それだったら余計に何とか売れるグッズをつくりたいと思いました。いろいろ調べてみて、結果的に思いついたのがタンブラーでした。完売することができ、有言実行できたと思います。ただ、マッチデーを迎えて痛感したのが、グッズをはじめ準備不足だったということ。全員で情報共有できていないのが原因のひとつだと思いますので、今後の課題になりました」と振り返った。
- プロジェクトメンバーが考えたオリジナルグッズ。中央の2種類のタンブラーは試合中盤に完売。大学とマリーンズをイメージしたTシャツは、「いくつか案を考え、メンバーの意見も聞いてこのデザインになりました」とグッズ担当の鈴木潮里さんは話す。
球場内にも同大学PRブースを初設置
今年は、同大学のブースを球場外だけでなく、初めてスタジアムコンコースにも設置し、サービスを提供。全体統括として、メンバーが本番で円滑に動けるよう指示出しを行っていた柴崎翔大くんと土橋鵬晃くん(ともにサービス創造学部3年)は口をそろえて、「通路が狭いですし、試合が始まると観客が密集する場所なので、ここにブースを設置することで昨年より集客できたと思う」とコメント。その一方でメンバーに対して柴崎くんは、「一人ひとりが、もっと責任感を持って行動してほしい。上の学年も自分が動いて後輩に見せるということも意識した方がよかった。今回は、3年生の間でも揉めることも多かったのですが、ただ、それで逆に絆が強まったと思います。自分自身、後輩に頼られることで、成長させてもらった部分が多かったです」と笑顔を見せた。土橋くんは、「今年の2年生は率先して動いてくれていたと思いますが、僕らがうまく情報共有ができていない部分が多かった点は課題です。リーダーの上杉茉絢に引っ張ってもらいましたが、もっとしっかり彼女をフォローしてあげられたらよかったと思います」と反省も口にした。
- 単位のでない1年時からプロジェクト活動に関わってきたという柴崎翔大くん(右)は、「3年間通して感じたのは、上の人間がしっかり指示出しすることが大事だということ」と語ると、土橋鵬晃くん(左)は、「昨年、流れを把握したので、今年はスムーズにできたように思う」と語った。
TwitterなどのSNSで情報発信をしたり、ブースの装飾を行った広報チームの高間美沙貴さん(サービス創造学部3年)は、「自分の役割を把握しきれていなかったところが反省点」と話す。「今年は、会社のように組織をつくって活動を始めたのですが、それぞれの部署の役割があいまいになってしまったことで、最後はドタバタになってしまいました。その原因はコミュニケーション不足だと思っています。時間がなく、LINEでのやり取りが中心でしたが、顔を見ないコミュニケーションではしっかりとした意思疎通が図れていませんでした。それは、2年生にも指摘されていたので、やはり私たち3年生の至らなかったところだと思っています。チームで仕事をすると、仕事をやらない人が出てきてしまうものですが、それも指示をする側の伝え方に問題があるのかもしれないと思いました。チームで仕事をするための心得が分かったことは大きな学びでした」とほっとした表情を見せながら話した。
大学がスポンサーであることを強く意識した活動を
今年のマッチデーでは、 “千葉商科大学”が球団スポンサーであることを強く意識した活動を行った。これまでのマッチデーでは、千葉ロッテ・プロジェクトメンバーが中心となって、千葉ジェッツ、ジェフ千葉のスポーツビジネス・プロジェクトがサポートしていたが、今年はサービス創造学部だけでなく、同大学の人間社会学部の学生たちも活動に参加。これも、「千葉商科大学全体のマッチデーなので、学部を越えて全学部で盛り上げたい」というサービス創造学部で千葉ロッテ・プロジェクトを担当する中村聡宏専任講師の呼びかけがあったからだ。人間社会学部の鎌田光宣教授も賛同し、同学部の1年生6人が今回の活動を手伝うこととなった。
「メンバーは主にマリーンズファンですが、アクティブ・ラーニングでさまざまな活動に参加している学生や、訪問へルパーに必要な介護職員初認者研修の資格取得のために介護施設でアルバイトをしている学生が参加してくれました。1年生200人に声をかけて6人が手を挙げてくれましたが、今回だけでなく今後もぜひ参加したいと言ってくれています」と鎌田教授。初めての試みだったが、学生たちが自分事としてとらえてくれたことにうれしそうな様子だった。
一方、大学をアピールするため、プロジェクトメンバーは、今年のオールスターゲームでも話題になったマリーンズファンにはおなじみの勝利のコール「We are 千葉ロッテ!」をオマージュした「We are 千葉商大!」のCMを。同大学国際教養学部の特命講師であり、千葉ロッテマリーンズのスペシャルアドバイザーでもある里崎智也氏が同大学の魅力を語るシーンに加え、学生たちが「千葉商大!」「商大サイコー!」という掛け声で大学をアピールするという構成だったが、若者らしくすがすがしいインパクトのある映像は観客の注目を集めていた。
学生たちの学びと、大学のブランディングと。
プロジェクトリーダーの上杉茉絢さん(サービス創造学部3年)は、「個人的には昨年よりもよいものにしたくて準備をしてきましたが、結局直前までまとまらずにあたふたしてしまいました。なかなか企画がまとまらずに、2年生も壁にぶつかっていたと思います。CMもグッズ制作も簡単なことではなくスケジュール管理の難しさを改めて実感しました。ただ、全員が本番に向かうにつれてマッチデーを成功させようとする気持ちが高まってきたことも感じました。夜遅くまでかけて準備をしたり、やるべきことを各自が積極的に探したりしたことが当日のスムーズな運営につながったと思いますし、当日も臨機応変に対応できていたのはよかったです」とメンバーを称賛した。また、「中村先生のスポーツマネジメント関連の講義から、集客の重要性はもちろん、スポーツビジネスにはマッチデーをはじめさまざまな権利があること、取り巻くステークホルダーの多様性などを学んできましたが、今回の活動を通して、それらを実際に意識することができました。他にもマーケティングの講義や、ソーシャルメディア活用の特別講座を通じて学んだことも、宣伝ポスターをつくったりSNSで情報発信をしたりする際に大変役立ちました。座学で学んだことを実践すると、より身についた気がします」と座学での学びを実践に生かすことができたと明かした。
試合は、マリーンズがバッファローズに4-14の大敗を喫したが、メンバーたちは多くの観客に触れ、チャリティでは約12万6000円という目標額の寄付金も集めることができ、予想以上の満足感を得られた様子だった。
担当の中村専任講師は、「今年は、書籍出版にも挑戦しましたが、マッチデーに関しても、事前のポスターづくり、SNS等での告知、プレスリリース作成、また、マリンビジョンで流すCM制作、ジェフやジェッツとコラボしたファーストピッチセレモニーの企画、うちわ型チラシの作成・配布、さらには、PRブースにおいては、Tシャツやタンブラーなどオリジナルグッズや書籍を販売したほか、選手のサイングッズなどが当たる大抽選会の実施、フォトアートをからめたチャリティ企画など、盛りだくさんのアイデアをそれぞれカタチにできました。球団から認められている権益や大学におけるルールなど、さまざまな制約の中で、学生たちの思い通りにはならないことも多々あって難しさを感じることも多かったと思いますが、それでも彼らなりに考えて工夫して実践し、さまざまな企画をカタチにできたことは自信につながることと思いますし、彼らの執念だとも言えるでしょう」と学生たちをねぎらった。そして、「公式サポーター企業である千葉ロッテマリーンズや東日本大震災復興支援財団をはじめ、企業の最前線で働いているビジネスマンの皆さんと関わりながら活動する経験が、学生たちにとって大きな学びになっていると思います。被災地・東北に実際に足を運び、学生たちが目にしたことを通じて、その思いをパンフレットにして伝えられたことも、スポーツの力を活用した社会貢献として意義あるものになりました。そしてまた、人間社会学部や国際教養学部をはじめ、他学部とも連携をとれたこともひとつの成果。こうしたイベントを通して、学生たちがスポンサーシップの意義を考えて学ぶこともできたと思いますし、それと同時に、大学のブランディングという意味でも価値あるアクティベーションになったと思います。来年は千葉商科大学も90周年ですので、学生たちとともにさらに盛り上げられるといいですね」と手応えを口にした。
- リーダーの上杉茉絢さんは、「少しカッコよく言うと、代表として周りを統率する力がついたと思います。全部署の細かなことまでは把握しきることはできていなかったかもしれませんが、メンバーたちのサポートのおかげでやり遂げることができました。また、企業の方とコミュニケーションをとることやメールでのやり取り、書類をつくることが以前よりできるようになったと感じていますので、就職活動や社会人になった後も生かしたいと思っています」と今後の抱負も述べた。
▼動画「We are 千葉商大! 2017フルver.(60秒)」はこちら
▼動画「We are 千葉商大! 2017ver.(15秒)」はこちら