コミュニティカフェ・プロジェクト企画
「Café Green Garden」

開放的な空間で爽やかな風を感じながら、仲間とともにコーヒーを飲むひと時……。2017年7月5日~7日、緑豊かな千葉商科大学のキャンパス内に、3日間限定のオープンカフェが設置された。「Café Green Garden」と題したカフェを企画・運営したのは、同大学サービス創造学部のコミュニティカフェ・プロジェクトのメンバーたち。同イベントの狙いを探るべく、Kicky!編集部が潜入した。

 


キャンパス内の芝生エリアで初開催

商品の仕入れから店舗の運営まで、正課のカリキュラムの中で、学生たちが自主的に行っているコミュニティカフェ・プロジェクト。今回は、学生、教職員だけでなく、地元の方々も含めた交流の場をつくりたいという思いから、「くつろげる空間で自然とともにコーヒーを味わってもらいたい」をテーマに掲げ、メンバーそれぞれがフィールドワークを行い、約3か月かけて企画をつくっていった。その結果、キャンパス内の芝生エリアに、テーブルと椅子が用意され、気軽に交流できる空間が誕生した。
 

プロジェクト代表であり、今回の企画リーダー、河津雄太くん(サービス創造学部3年)は、「大学は緑豊かな場所にあり、緑はリラックスする効果があります。ちょうどテスト期間前で、学生たちもピリピリする時期なので、ここで一息ついてもらえればと思いました」と狙いを明かす。
しかし、屋外での初開催ということやメンバー25人の思い描いているイメージが異なることなどもあり、多くの壁にぶつかったという。「ドリンク・フード班、空間レイアウト班、運営企画班、会計・申請班、広報班と5つのチームに分かれ、チームごとに役割分担をして、組織化して誰が何をやるということを明確にしました。初めてのことだったのでメンバーも手探り状態でやってきました。段取りやコンセプトについて、何度も話し合って進めてきましたが、ここまでつくり上げるのは本当に大変でした。でもそうやって議論することが一番大事なことだと思いました」と河津くん。自身もチームをマネジメントする立場としてゼミの研究テーマとつながり、いい経験になったという。
「経営学を学ぶ石井泰幸教授のゼミでは、経営学者のチェスター・バーナードの組織論も学びました。組織が成立するためには、共通の目的、コミュニケーション、貢献意欲が必要と言っているのですが、プロジェクトではまさにこうした学びを実践する場となっています。また、僕だけでなく、メンバーもマーケティングや会計学などさまざまな学びをこのプロジェクト活動で生かすことができていると思います。理論と現実の違いも感じますけどね」と笑顔で話す。
 

コミュニティカフェ・プロジェクトのメンバーたち。大きな声で、笑顔で接客していたのが印象的だった。
 


市川産トマトのPRに尽力

今回の目玉のひとつは、市川産のトマトを使ったピザトーストだ。メンバーは市が市川産のトマトのPRに力を入れている情報を入手。「自分たちで市川トマトのブランドを発信できたら」という思いから、市役所などに足を運んで情報収集に努めた。さらに、学生は安くて腹持ちがよいものを好むという調査結果も踏まえ、大学近くの石井農園でつくられている市川トマトを使ったピザトーストを仕入れて、販売することを決めた。また、最終日のみ夜は6時から1時間だけBarタイムを設けたのも新たな試みのひとつ。そこでも市川産のトマトを使ったビールベースのカクテル「レッド・アイ」を数量限定で販売した。
さらに、パイナップルの実、レモン、ミント、オレンジゼリーをソーダで割った爽やかな甘さのオリジナルドリンク「フルッタ」も考案。「サービス創造学部のイメージカラーが黄色ですし、パイナップルは外国で“おもてなし”という意味があるので、このドリンクを考案しました」と河津くんは言う。もちろん例年同様、コーヒーやカフェオレといったドリンクメニューも用意した。
「ただ椅子とテーブルを置いてゆっくりとできる空間をつくるだけでは、サービス創造とは言えません。メンバーそれぞれが飲食店に求められる点を調査したところ、五感を刺激するための香りやBGMなども取り込んでいることが分かり、ここでも実行してみました。SNSを使って告知をしたことが奏功して、思いのほか、たくさんの方に来ていただけたのは嬉しかったです。ただ、1日目には商品の在庫が店頭になくなってしまい一時中断したり、お客様へのあいさつやおもてなしの精神が足りなかったりという課題も。こうした反省点を次につなげていきたいと思っています」と河津くんは振り返った。
 

担当教員の滝澤淳浩准教授は、「私は約20年間、企業の広報室にいました。ですから、学生たちにも広報の重要性を伝えています。情報発信能力がないとみんなに知ってもらえないのはもちろん、逆に情報を集めることもできませんからね。また、このプロジェクトは、コミュニケーションを取ることがそもそもの目的なので、SNSを通して人とつながることはとても大事なことです。情報化社会全盛で、自己表現力がないと生き残っていけないと思っていますし、SNSは簡潔に文章を書くことは、文章能力も上がり、ひいては就職活動にも役立ちます。まずはトライしてみる。やってみなければ面白いか面白くないか、わかりませんから。ですから、今学期はFacebook、Twitter、InstagramなどのSNSを自分たちで積極的に使ってみることから始めました。このプロジェクトを通して学生たちに、社会人のモノの考え方を身につけてほしいと思っています」と狙いを話した。
 

梅雨のさなか、天候に恵まれた3日間。爽やかな風が心地いい芝生の上で、学生たちや教職員が楽しそうに会話したり、親子連れや地元の方とスタッフが交流したりと、開放的な空間に多くの笑顔があふれていた。
 

プロジェクトリーダー兼今回の企画リーダーを務めた河津雄太くん(サービス創造学部3年/左)が担当教員の滝澤淳浩准教授(右)ともに。河津くんは、「滝澤先生からは、社会で通用する、即戦力になる、サービス創造の視点といったことをご指導いただいています。すべてを理解しきれていない部分はありますが、ご指導いただいたことを吸収して、チームとの横のつながりを強めて、プロジェクト全体で盛り上げていきたいと思っています」と抱負を述べた。
 

キャンパス内の芝生エリアに出現した「Café Green Garden」。今回のテーマをイメージして、メニューやポスターもプロジェクトメンバーがが手掛けた。(撮影:野口義彦/サービス創造学部3年)
とくにランチタイムは、長蛇の列ができ、スタッフもフル回転!(撮影:野口義彦/サービス創造学部3年)
今回の目玉のひとつ、市川産のトマトを使ったピザトーストは1日限定30個。そのほか、市川にあるバウムクーヘンで有名なハウスフォンフラウクロサワのソフトバウムクーヘンやチーズインバウムなども限定販売した。
注文が入ると、メンバーがドリンクを作成する。ドリンクはフルッタ、アイスコーヒー、カフェオレ、オレンジジュースの4種類。1杯100~200円と、かなりお手頃価格だ。
テーブルには、市川産のトマトを使ったお手軽レシピ。ピザトーストの仕入れ先からレシピを提供してもらった。
目玉のドリンク「フルッタ」は、爽やかな酸味とすっきりとした甘さが絶妙!生のパイナップルも入っているのも嬉しいポイント。
講義の合間に、サービス創造学部の新入生もピザトーストをパクり!「食べごたえがあって満足です!」とコメント。
最終日の7月7日の夜はBarタイム。トマトをおつまみに、お酒を一杯。金曜日の夜だけに、学生たちの表情も和やかだ。(撮影:野口義彦/サービス創造学部3年)
最後にメンバーたちで記念の一枚。3日間、お疲れさまでした!(撮影:野口義彦/サービス創造学部3年)