公益財団法人東日本大震災復興支援財団事務局長
池田昌人

「1000年に一度の大災害」と言われた2011年3月11日の東日本大震災。5年が経ち、被災地の復興はどのくらい進んでいるのだろうか。千葉商科大学サービス創造学部スポーツビジネスプロジェクトのメンバーを対象に、公益財団法人東日本大震災復興支援財団の事務局長、池田昌人氏が登壇。被災地の現状と同財団の思いについて語った。

 


5年経った被災地の現状

東日本大震災復興支援財団は、2011年7月に設立されて以来、「みんなでがんばろう日本」をスローガンに、被災地の子どもたちが夢と希望を育む環境を実現するための活動を行っている。
震災から5年以上が経った今、被災地はどういう状況なのだろうか。池田氏は語る。
「沿岸部には未だ震災の爪跡が残る地域が多くあります。2020年東京五輪・パラリンピックが決まり、日本中は盛り上がっていますが、被害にあわれた方の中には、仮設住宅で五輪を迎えなければならない状況にある方がいるのも事実。それだけ大きな被害で、復興に時間がかかっている、これが東日本大震災です。未だに原発被害を受けている地域の方をはじめ、地元にいつ帰れるか分からないという方が大勢います。」
 

学生時代はスポーツに縁がなかったと語る池田氏だが、現在の趣味はトライアスロン。「とくにスポーツをされている方は、人に対する優しさを持っている方が多いように思います。そういう方々も巻き込みながら支援活動をしていきたい」と述べた。

 


東日本大震災復興支援財団とは

現在、同財団では子どもたちを対象とした6つの支援活動を行っている。
 
1.高校生対象給付型奨学金「まなべる基金」
入学から卒業までのあいだ、最大48万円を給付する返金不要の奨学金。
 
2.子どもサポート基金
被災した子どもたちの支援活動を行うNPOやボランティア団体への助成。
 
3.ユースアクション東北
被災地の復興や活性化のために活動する若者を資金面と人材面から支援。同時に、彼らにアドバイスやサポートを行う大人を育成。
 
4.18歳まで携帯料金サポート
震災で保護者を亡くした子どもがスマートフォンや携帯電話を安心して利用できるよう全キャリア対応で、携帯利用料金を支援。
 
5.みやぎ「夢・復興」ジュニアスポーツパワーアップ事業
スポーツを通じて子どもたちの可能性を引き出し、将来の宮城県の復興を担う、心身ともに優れた人材の育成をめざす。
 
6.東北「夢」応援プログラム
東北で暮らす子どもたちを対象にスポーツなどの指導を受ける機会を提供。遠隔指導を通じ、自らが設定した目標を達成する過程を応援する。
 
6番目の「東北『夢』応援プログラム」は今年4月に開始したばかり。「思いはあっても、アスリートたちが東北に長期間滞在し、支援を行うことは難しい。このプログラムであれば違う地域にいても被災地の子どもたちとつながっていられると考えました。一方、子どもたちは夢や目標に向かってPDCAサイクル(Plan/計画、Do/実行、Check/評価、Act/改善)を繰り返すことで、将来、東北を担う人材になれるようなスキルを身につけることができると思っています。」
 

同大学サービス創造学部の「千葉ロッテ・プロジェクト」では、プロ野球球団「千葉ロッテマリーンズ」と学生が連携し、毎年同大学主催のマッチデーの企画・運営を行っている。そして、その収益金を同財団に寄付し、社会貢献に結びつけている。

 


奥尻島地震から学んだ教訓

同財団が子どもを対象としたさまざまな支援を中心に行っているのにはわけがある。それは、1993年7月12日に起こったマグニチュード7.8の北海道南西沖地震(奥尻島地震)の教訓があるからだ。震源に近い奥尻島はとくに大きな被害にあった。「当時、義援金は190億円集まりました。その義援金で、まず行政は公共の場をつくって、残りは被災者の生活再建のために配分しました。しかし、この地の産業に注力しなかったため、働き口がない地元の方たちは仕事を求めて町を出ていってしまった。このことを教訓に、当財団においては、東北の若者を支援するさまざまな事業を行っているのです」と池田氏は言う。
そして、改めて復興とは何かについてこう述べた。「建物や生活インフラが整ったからといって復興したということではありません。被災者にとって大切な方やモノを失った感情は、時間が経つごとに増していくものです。その方たちの心のケアがあってこその復興と言えるのではないかと考えています。」
 
「あまり口にはしないけれど、東日本大震災から5年が経ち、東北は忘れられてしまうのではないかと不安を感じている被災地の方々がいます。」
辛く厳しい5年を過ごされてきた方々の思いや被災地の現状を知り、改めて今私たちに何ができるのか、深く考えさせられる時間となった。
 

池田氏は「復興支援の中で、さまざまなことが実現できているのは、ご縁だと思っています。復興支援を通じて、人の縁の大切さを痛感しています」と学生たちに語りかけた。

 

プロジェクトメンバーがさまざまなチャリティ企画を準備する「千葉商科大学マッチデー」は、8月30日(火)にQVCマリンフィールドで行われる。
 

【千葉ロッテマリーンズ主催試合「千葉商科大学マッチデー」】
日時:8月30日(火)18:15試合開始
試合:千葉ロッテマリーンズ vs オリックス・バファローズ
場所:QVCマリンフィールド
※イベントブースは15時オープン!
 

 

※千葉商科大学関係者用チケット予約はこちらから(一般購入も可能)

 

<プロフィール>

池田昌人(いけだ・まさと)

公益財団法人東日本大震災復興支援財団事務局長
スマートコーチ株式会社 代表取締役社長 兼 CEO

1974年7月12日神奈川県生まれ。2011年7月に公益財団法人東日本大震災復興支援財団局長に就任し、東北の子どもたちとその家族を応援するために活動。2015年10月には、スマートフォンでスポーツ選手などによるプライベートレッスンが受講可能なプラットフォームを提供するスマートコーチ株式会社を設立し、同社代表取締役社長兼CEOとしても活躍中。