第1回「CUC Sports Summit」開催
千葉商科大学サービス創造学部は、公式サポーター企業である千葉ロッテマリーンズ、千葉ジェッツ、ジェフユナイテッド市原・千葉に、オービックシーガルズを加えたスポーツ4球団とともに、第1回「CUC Sports Summit」を開催した。「大学×スポーツ」をテーマに、大学とスポーツクラブが連携して新しいサービスモデルの構築を模索するのが狙いだ。
スポーツビジネスを自分ごととしてとらえるには
同学部における「プロジェクト実践」と名付けられたアクティブ・ラーニングのカリキュラムでは、スポーツやエンターテインメントなどの分野で、学生自らが企画・実践し多くの学びを得ている。中でも、スポーツビジネスプロジェクトでは、公式サポーター企業であるプロ野球チーム「千葉ロッテマリーンズ」、プロバスケットボールチーム「千葉ジェッツ」、プロサッカークラブ「ジェフユナイテッド市原・千葉」の運営会社と提携、学生が球団と連携した活動を行っている。この日、この3球団に5年連続日本一の社会人アメフトチーム「オービックシーガルズ」の運営スタッフを交え、学生、教員らがスポーツのサービス創造について意見交換を行う「CUC Sports Summit」を開催した。
同学部の吉田優治学部長は、「野球、サッカー、バスケット、アメフトの4球団と小さな学部が一緒に何かできるのは幸せなこと。大学全体には6,000人という学生がいますが、無料のチケットがあっても見に行きたいと思わないのが実情。そうした状況を考えると、企業の方たちにしても私たち教員にしても、“学生たちが関心を寄せないサービス”を提供しているのではないか、と感じてしまいます。学生たちにとって自分ごとになるにはどうしたらいいか、と考えています」とサミットの狙いを明かした。さらに、スポーツビジネスプロジェクトを担当する中村聡宏専任講師は「これまで例年、マッチデー(大学との冠試合)をどう盛り上げていくかが中心になっていました。今後はそれだけではなく、スポーツビジネスのサービスを創造できるか、言い換えると、大学というプラットフォームでどんなアクティベーションを生み出していけるか、がカギだと思っています。特に、学生たちの心をつかむことができるのはやはり学生自身です。皆さんにアドバイスをいただきながら、学生たちとスポーツを盛り上げる方法を模索していきたい」と抱負を述べた。
- 「アウェーで試合が行われている時には応援しに行けないというサポーターもたくさんいる。そういう人たちに向けて、同じ地域の他競技を応援しにいくように促すのも一案だと思います」とジェフユナイテッド株式会社 総務の利渉洋一氏(中央)。
スポーツ業界も、ダイバーシティの時代
千葉ジェッツを運営する株式会社ASPE執行役員で、千葉ジェッツ・プロジェクトの特命講師を務める梶原健氏は「私自身、スポーツビジネスにかかわって5年と、日が浅いのですが、現場で経験してみないとわからないことが多いと感じています。今までのプロジェクト活動でも、学生たちがビジネスの現場に入り込んで活動を行うところまではいっていなかったので、4月以降はインターンシップをはじめ、学生たちによりリアルにスポーツビジネスを学んでいただける機会をつくっていきたいと考えています」と述べた。さらに、各競技の連携について話がおよぶと、ASPEの島田慎二代表取締役社長は、「それぞれ球団の事情や競技、シーズン、事業規模などさまざまな違いがあります。ここ20年で社会の状況が大きく変化し、ダイバーシティ(多様性)の時代を迎えています。さまざまな価値観がある中でどのようにビジネスを展開していくか、変革の時だと感じています。ギブアンドテイクできるように、もっと連携できる形を模索していければと考えています」と話す。
また、ジェフユナイテッド株式会社の利渉洋一氏も島田社長の「ダイバーシティ」というキーワードに大きくうなずく。「23年前に10クラブで始まったJリーグは、現在、53クラブに増えました。代表強化のためにはチームが増えすぎるのは必ずしもいいことではないという考え方もある一方で、Jリーグの理念である地域と一緒に運営していくという点に賛同し、リーグ昇格を目指しているチームもたくさんあります。競技は違いますが、国内のトップリーグに属しているスポーツチームがこれだけ近隣に集まっているというのはあまりないケースなので、この地域のストロングポイントととらえて、地域の人たちに楽しみを提供していきたいと考えています。地域のスポーツを一緒になって応援する構図が実現すると、もっとスポーツ業界も豊かになるのではないでしょうか」と、サポーター間の交流を促した。
2020年東京オリンピック・パラリンピックまであと4年。スポーツへの注目が集まっていく一方で、新しいスポーツファンをどうしたら獲得できるか、また各チームがどのような連携を図れるか。さらには、学生たちとどのような新しいサービスを生み出すことができるか。今後のスポーツビジネスプロジェクトの展開に期待したい。