千葉商科大学サービス創造学部・桐生南高校 共同企画「サービス創造熱血講座」

群馬県桐生南高校と千葉商科大学サービス創造学部との共同企画シリーズ「サービス創造熱血講座」第9回が、2016年3月3日に開催された。2015年度の締めくくりとしてこの日行われたのは、高校生たちが1年間の熱血講座を振り返るというもの。高校生たちは講座を通して何を学んだのか。

 


熱血講座を振り返って

「サービス創造熱血講座」は、2014年度より群馬県立桐生南高校と千葉商科大学サービス創造学部が共同で行っているシリーズ。本講座は、キャリア教育の一環として、後輩たちが未来を創造するきっかけにしてほしい、と同高校野球部時代の先輩・後輩であり、現在は千葉商科大学サービス創造学部でともに特命教授を務める佐瀬守男氏(株式会社ホットランド代表取締役)と荒木重雄氏(株式会社スポーツマーケティングラボラトリー代表取締役)の提案で実現したものである。
 
今年度は、音楽プロデューサー、広告ディレクター&コピーライター、女性起業家(※1)……と、各業界で活躍する方々が、将来の目標や夢に向けて高校生たちへメッセージを送った。それを受け、彼らはどのようなことを感じたのか、そして今後それをどのように生かしていきたいのか、発表する機会が設けられた。
 

グループワークで、自分の目標を発表しあう高校生たち。

 
【与えられたテーマ】
1.10年後の自分はどんな自分になりたいか。
2.講演内容や言葉を振り返り、どのようなことを感じたか、それを実現するために、自分自身、どのように実行していくか。
 
●2年男子「銀行で働きたい」
「第4回の浅井満知子先生の言葉に、『人生は毎日が選択の連続』という言葉がありました。人生は一度しかないから後悔しないような選択をしたいと考え、いい選択をするためにもっと努力をしようと思います。」
 
●2年男子「医学療法士として働きたい」
「第3回の山内真太郎先生がおっしゃった、“努力と運の確率をあげるために物事をやりきる”ということは、すごくかっこいいと感じました。とにかく目の前にあることを一生懸命に頑張ろうと考えています。」
 
●2年男子「小学校の先生になって社交性のある子どもたちを育てたい」
「第4回の『人生、選択の連続』であるということについて、自分の目標があるからこそ頑張ることができると感じました。そのために今、自分の目標に対して、あきらめずに強い信念を持って努力していこうと考えています。」
 
●2年生女子「海外で貧しい国の人を助ける仕事がしたい」
「浅井先生は、“人は幸せになるために生まれてきた”とおっしゃいました。自分はそれなりに幸せと感じているので、幸せではない人たちを助けるために努力し、勉強しようと考えています。」
 
●1年男子「人々の役に立てるような人間になりたい」
「第4回では、社会にはぶら下がっている人、ぶら下げられている人がいるとおっしゃっていました。僕はぶら下げられる人になりたいと感じたので、そのために勉強を頑張り、知識と経験を積んでそれを武器に、いずれ自立しようと考えています。」
 
●1年女子「プロボウラーとして活動し、自分の体のケアをしっかりできるメディカルトレーナーになりたい」
「第3回の山内先生の講義を聴き、情報は広いところから情報が集まってくるのだと感じました。自分の目標や夢を叶えるには、自分で自分を高める、また周囲を巻き込み、意思表示をする努力をしようと考えています。」
 

教員からランダムに当てられ、それぞれ自身の目標を、生徒たちの前で発表していく。


夢を実現するために「力と知識が必要」

高校生たちの意見を聴いて講評した同大学サービス創造学部の吉田優治学部長は、夢を実現させるための3つのポイントを挙げた。
 
1.自分ごとにすること。
他人にどう評価されるかではなく、自分ごととして楽しみ、実現していくこと。
 
2.まずはやってみる。
わからなくても第1歩を踏み出すことが大事。
 
3.ソーシャルの重要性。
自分の仕事や働いている会社が社会とどう繋がっているのか、またそれを自分と結びつけて考えることの大切さ。
 
「熱い気持ちだけでは叶わないことがある」と吉田学部長は言う。「何かをしたいと思った時に、力や知識がなければ実現できません。もしかしたら財力も必要になるかもしれない。それらを持たない限り、熱い気持ちだけでは前に進めません。熱い思いを持ちつつ、自分の専門は何かを十分に考え、勉強し選択していくことが大事なのです。それは他人が提供できるものではないので、自分でつかんでいくしかない。大学に入るだけ、就職をするだけが戦いではありません。私もそして鈴木信弘校長もいまだに戦っているんですからね」と、学生たちにエールを送った。

 

「私の専門は経営学ですが、いま、サービスをどうやって創造していくか、またサービスを創造する人材を育成しようと企業の方たちと一緒に取り組んでいます。私もいまだに戦っているんですよ」とサービス創造学部の吉田優治学部長は語る。

 
3月末で退職となった桐生南高校の鈴木校長は、「吉田学部長のお話を聴く、生徒たちの目線が真剣だと感じました。学部長がおっしゃった『自分ごととしてとらえる』、『行動すること』、これは非常に大事なことだと思います。途中で失敗があってもいいんです。とにかく、夢や目標ができたら、それに向かって真っ直ぐに進めば、自分の道が開けてくるはず。皆さんもっと突っ走ってください。本当にいろいろとありがとうございました」と締めくくった。
 

「鈴木校長がいたからこそ、この熱血講座は実現できた」と吉田学部長。鈴木信弘校長(右)と、三芝功一教頭(左)ともに。

 

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今回の講座の中では、さまざまなボランティア活動を行っている同高校のJRC部(Junior Red Cross/青少年赤十字)が活動内容を報告。2014年度、「熱血講座」の講師のひとりとして登壇したシンガーソングライターの近藤薫氏が、桐生南高校のために書き下ろしたオリジナルソング『もうひとりの君』を広めるため、手話ソングにして地域で活動をしたり、東日本大震災で被害を受けた岩手県立高田高校に「たくさんの人が復興を願っている」という思いを込めてビデオレターにして送ったりしたという。群馬県では、2015年4月に手話の普及を努めるよう「群馬県手話言語条例」が施行され、現在各地でも浸透し始めている。メンバーは、「手話をもっと身近に感じて、学んでもらえたらうれしいです」と生徒たちに呼びかけた。
 

今回の講座の中では、JRCのメンバーが生徒たちに手話を教える場面も。

 

最後に、生徒、教員を含めて『もうひとりの君』の手話バージョンを一緒に楽しんだ。