―付加価値あるサービスビジネスモデル構築へ向けた取り組み―
ALSOKビルサービス株式会社×千葉商科大学サービス創造学部

「ダイニングを清掃するためには、私たちの力だけでなく、皆様一人ひとりの力が必要です。ダイニングを綺麗に使いましょう!」
千葉商科大学の学食「The University Dining」に、清掃パフォーマンスチームが突如出現した。正体は、「The University Dining」を日ごろ清掃している、ALSOKビルサービス株式会社の入社2~3年目の若い社員たちによる「ALSOK清掃儀仗隊」のメンバーだった。

 


同学部が推進する新しい教育プログラムのひとつ

この清掃パフォーマンスは、経済産業省の平成27年度「産学連携サービス経営人材育成事業」に採択された千葉商科大学サービス創造学部の実践的な新しい教育プログラム「インキャンパス・リアルビジネス・ラーニング」の取り組みのひとつ。このプログラムでは現在、同学部の公式サポーター企業協力のもと、大学キャンパスをマーケットとしてとらえて、新たなサービス創造に挑む「キャンパスマーケット・プロジェクト」や、「The University DINING(学食)」とその隣に建つ瑞穂会館をリノベーションして今年度開館予定の「The University HUB(複合施設)」を使ったリアルビジネスラーニングを行う「The University HUB & DININGプロジェクト」が進行している。
 
このプログラムに協力しているのが、公式サポーター企業でもあり、「The University DINING」の内部の清掃を行っているALSOKビルサービス株式会社だ。そもそも、ビル管理に関するトータルコーディネートを行っている同社だが、次世代戦略ビジネスのひとつとして、“見せる”“演じる”清掃をテーマに掲げた清掃パフォーマンスを考案。今後、このパフォーマンスを顧客企業や社外で行うことにより、企業イメージや清掃イメージを向上させる手掛かりにしたいという。このプロジェクトにかかわる同学部の清水喜久准教授は、「まずは今回、労働集約型業務と思われがちな“清掃”に付加価値をくわえるべく、このパフォーマンスが誕生したのですが、これをきっかけに学生たちも一緒に“清掃”というビジネスについて考えてほしい。そして企業とともに新たなサービスを創造していきたいと考えています」と今後の狙いを語った。
 

ALSOKビルサービスで日々行われている整列や点呼の動作もパフォーマンスに組み込んだ。


新しい清掃サービスの第1弾がエンタメ清掃

パフォーマンスに参加したのは、入社2~3年目の社員5人で、同大学のOB&OGが中心。10月から準備をはじめて仕上げた。選んだ曲は1970年代に流行したゴールデンハーフの『黄色いさくらんぼ』。同学部のブランドカラーである「黄色」と少し昔のよい習慣を振り返ってほしいからという。替え歌の歌詞から振り付けまで自らで考えた。
「経済産業省のプログラムの中で、千葉商科大学とALSOKビルサービスでコラボレーションして、新しい付加価値を加えたサービスを創造していこうとこの企画が走り出しました。その第1弾がこのエンターテイメント清掃です」と話すのは、同学部のOGでありパフォーマンスメンバーの小田ひとみさんだ。「無事、形になったことは嬉しい気持ちでいっぱいです。今回の反省点を生かし、さらなるパワーアップをめざして次のビジネス展開につなげていきたいと思っています」と抱負を語る。
 

美しい歌声も披露したメンバーの小田ひとみさん。「千葉商科大学の掃除にかかわっているメンバーを中心に、有志で集まりました」。

 
「清掃というビジネスは、年配の方が従事しているイメージが強く、それを払拭しない限りは若い人が集まらないと思いました」と、ALSOKビルサービスの業務統括本部長兼営業部長の吉田健氏は清掃業界の現状課題を明かす。「今回のテーマは温故知新。われわれが抱える課題の中で、清掃×ダンスというアイデアが浮かびました。今後の展開として、たとえば、エンタメ清掃をひとつのパッケージサービスとして販売していくこともありうるでしょう。綺麗にする人の存在を施設利用する方に認知してもらうことがサービス創造の第一歩です。そしてこのパフォーマンスを通し、社員たちに一体感が生まれ、それぞれが成長したと思います。今日の出来は60点くらいですが、組織活動としては満点でした」と社員たちをねぎらった。また、同社業務部課長代理の道下善光氏は、「われわれの訴えが学生さんたちに通じて、ダイニングを含めて、キャンパス内を綺麗に使ってもらうきっかけになればいいと思います」と学生たちに呼びかけた。
 

ALSOKビルサービスの業務統括本部長兼営業部長の吉田健氏は、「他の社員もすごく関心を持ってくれたようで、練習風景を社内イントラネットにあげたところ、励ましの電話もくれたようです」と笑顔を見せた。

 
参加したメンバーは、「全員揃う機会が少なかった中で、形にできたのはよかったと思います」(斉藤真氏)、「これをきっかけに大学だけでなく、普段の生活において清掃の意識が芽生えたらいいなと思います」(増田瑛輝氏)、「すごく緊張しました。披露するのは初めてだったので、少し硬い感じがありましたが、今後リラックスできたらと思います」(飯島恵理さん)、「OBとして後輩たちにビシッと頑張るところを見せたいと思っていました。成功してよかったです」(佐藤大河氏)とそれぞれほっとした表情を見せた。
 
これからは清掃×ダンスだけでなく、清掃×ITなど、さらなる展開を見据えている。大学とコラボレーションしながら、学生たちがその動きの中に加わり、さらなる新しいサービス創造をめざしていく。
サービス創造学部の新たなビジネス展開はとどまらない!
 

地味だと思われがちな清掃も、清掃パフォーマンスによって見事払拭された。メンバーも笑顔でパフォーマンスを披露。

 

同大学サービス創造学部の吉田優治学部長(後列右から2人目)も、パフォーマンスを大絶賛した。