2016年度、千葉商科大学サービス創造学部は8年目を迎えた。同学部の吉田優治学部長に、卒業生と新入生へ向けてのエール、そして今年度で2年目を迎える経済産業省の「産学連携サービス経営人材育成事業」の取り組みを語ってもらった。


学部開設以来、最高の入学者数

2009年に開設したサービス創造学部は、今年で8年目。4期生が3月に卒業しましたが、例年同様、今回も就職率では全国でもトップクラスです。これは非常に誇れることだと思っています。卒業生たちの今後の活躍を楽しみにしています。
また、4月には学部開設以来最も多い242人が8期生として入学しました。偏差値も7年間で10以上上がり、入学希望者も右肩上がりで増加しています。入口も出口も、また教育内容も含めて成果が出てきているのでこれらを継続しつつ、学部の代表としてもっと尖った教育をしていかなければならないと考えています。一方で、現役の学生たちが圧倒的な教育のプラットフォームがあるのに、まだまだ使い切れていない気がしています。もっと自分ごとにしてほしいと感じています。
 


2016年4月、8期生として入学してきた新入生。吉田学部長は、「教育の充実と同時に、学生が成長しているのか見極めながら進めていきたい」と抱負を語る。


大学内でリアルビジネスを

私たちの学部は昨年度より、経済産業省の「産学連携サービス経営人材育成事業」に採択されています。これは、サービス経営人材を育成するための教育プログラムをつくるという趣旨で設定された補助事業。「インキャンパス・リアルビジネス・ラーニング」と題し、学内において大学と企業の方が実際にビジネスを行う現場に学生たちも参加して、学びを得てもらいます(※)。
今までは教育の柱として「学問から学ぶ」「企業から学ぶ」「活動から学ぶ」の3つの学びとしていましたが、これらに「企業とサービス創造をする」という項目も増えることになります。このような取り組みは、日本の大学の中でも私たちの学部だけではないかという自負があります。これまでの努力が8年目にして結実したと思いますが、まだまだ先頭を走り続けていかねばなりません。
 


昨年度行われていた「キャンパスマーケット・プロジェクト」。公式サポーター企業の「ぴあ株式会社」「資生堂ジャパン株式会社」の協力のもと、学生たちが大学キャンパスをマーケットととらえ新たなサービス創造に挑んだ。


大学間での連携を

これまで、公式サポーター企業57社と学部との産学連携を行ってきましたが、今後は大学間連携も進めていきたいと思っています。まずは経産省の事業にも採択されている沖縄の琉球大学。琉球大学は、観光、医療、物流を含めていろいろな意味でサービスの尖りがあるので、面白い連携ができると思っています。もうひとつは、海外の大学です。私が思い描く「サービス創造6大学構想」を、ぜひ世界中の大学と展開していければと考えています。
また、2020年の東京五輪を控え、プロ野球の千葉ロッテマリーンズ、プロバスケットボールの千葉ジェッツ、Jリーグのジェフユナイテッド市原・千葉というプロスポーツ3チームとともに、スポーツ界を盛り上げていく取り組みも行います。ぜひ、学生たちもスポーツビジネスにおけるサービス創造を真剣に考えてもらえるような展開をしていきたいと思っています。
 


2016年2月には、プロ野球の千葉ロッテマリーンズ、プロバスケットボールの千葉ジェッツ、Jリーグのジェフユナイテッド市原・千葉の3球団の首脳陣が集まり、意見交換会も行われた。


感性に訴える教育を

サービス創造といっても、感性に訴える教育も強化していかねばならないと思っています。たとえば、学部の特命教授であり、音楽家の大沢伸一氏による特命教授塾という講座を今年度より開講しています。学生たちはライブに積極的に行くなどして感性を磨く努力も必要だと思います。
これは教職員にも共通して言えること。たとえば企業の方と交わる、学生たちとともに行動をするなど、伝統的な大学の枠から飛び越えて、さまざまなことに興味をもっていただきたいと思います。教職員も、学生もやりたいことをやれる包容力を持っている学部です。一人ひとりが尖り、それらが緩やかに結びつくことで大きな波が生まれると、私自身強く感じています。
企業や大学など、さまざまな連携を図りながら、新しいステージをつくっていきたい。学生たちが5年後、10年後、社会の中で活躍できる人材になれるかどうかがポイントですので、2016年度も学部もまだまだやりますよ!
 


今年度より月に1度開催されている音楽家の大沢特命教授による特別講義。第一線で活躍する大沢特命教授を前に、学生たちも緊張気味の様子。

 
 

※インキャンパス・リアルビジネス・ラーニング/今年度の取り組み(予定)
 
5つのユニットに分けて実施。最終的には外部の方の評価を受け、今年度を検証していく。
 
■Diningサービス創造ユニット
フードサービス、清掃サービスを軸に、学食「The University Dining」における経営改善・集客増加の実現について学ぶ。
協力企業:株式会社トランジットジェネラルオフィス、綜合警備保障株式会社、ALSOKビルサービス株式会社
 
■エンタメサービス創造ユニット
瑞穂会館をリノベーションして今年度9月に開館予定の「The University HUB(複合施設)」におけるエンターテインメントサービスの展開としてダンススタジオ、ライブハウスなどを構築において学生たちに学びの場を提供する。
協力企業:株式会社ルネサンス、セントラルスポーツ株式会社、
 
■映画サービス創造ユニット
「The University HUB」におけるシアター設置を視野に映画ビジネスについて学ぶ。
協力企業:イオンエンターテインメント株式会社、東映株式会社
 
■「The University Store」ユニット
「The University HUB」における「The University Store」施設を設け、トランジットジェネラルオフィス協力のもと、サービス創造を学ぶ。
協力企業:株式会社トランジットジェネラルオフィス
 
■市場調査ユニット
学内において、マーケティング活動を通じ、市場調査の手法を学ぶ。
協力企業:株式会社資生堂、ぴあ株式会社、株式会社千葉ロッテマリーンズ、株式会社ASPE(千葉ジェッツ)、ジェフユナイテッド株式会社、株式会社OFC
 
■特別講義(Real Business実践)
上記各ユニットがそれぞれ担当。秋学期より科目化予定。

 
 

<プロフィール>

吉田 優治(よしだ・ゆうじ)

000790専門:経営管理論・経営教育論・サービス創造論

1987年青山学院大学大学院経営学研究科博士課程修了。同年、稚内北星学園短期大学経営情報学科専任講師。1989年千葉商科大学商経学部専任講師に就任、助教授、教授を経て、2009年新設の「サービス創造学部」初代学部長・教授に就任、現在に至る。アメリカ経営学会・経営教育部会日本担当理事、2013年8月より全国ビジネス系大学教育会議会長。アメリカ経営学会よりアワード(2001~2008年)、韓国経営教育学会より学術賞(2009年)、日本マネジメント学会から国際貢献表彰(2013年)など。2000年ボストン日本人研究者交流会(Boston Japanese Researchers Forum)設立。