千葉商科大学サービス創造学部のリーダーとして新たな挑戦を続けているのが吉田優治学部長だ。「入学式の日、学生・保護者全員に番号を教える」という彼の携帯電話には、日々学生たちから直接、報告や相談の声が届くように、まさに「開かれた学部」のリーダーである。そんな彼が本音を語る「学部長ヨシダ、想いを語ります。」第1回は、学部インハウスメディアとして誕生したWEBマガジン「Kicky!」の狙いと期待を明かす。

 

学部インハウスメディア「Kicky!」を創刊したワケ

 

千葉商科大学サービス創造学部は、これからの日本社会を支える学生たちを育てるために「差別化された大学教育をつくりたい」という想いで、これまでさまざまな取り組みを実践してきました。
私たちの学部では、52に及ぶ公式サポーター企業に参画していただいています。これら公式サポーター企業の方々を含め120を超えるゲストスピーカーが教壇に立ち、学生たちに対して、ビジネスの現場における生きた話を講義してくださっています。さらには、学生たち自身が企画を立て、さまざまなビジネスプロジェクトに挑んでいます。小さな大学の小さな学部ではありますが、「日本の大学教育における新しいモデルを提示したい」とつねに考え、教育に取り組んできた自負があります。学部1期生の就職率が99.3%に達したことは、私たちの取り組みに対する成果のひとつだと思っています(2012年度実績)。

 

しかしながら一方で、それらについての学内外への情報発信は、まだまだ十分ではないと感じていました。
私たちのサービス創造学部で教壇に立っていただいている特命教授の1人が、千葉ロッテマリーンズの事業改革を成功させ、現在日本野球機構(NPB)で、野球日本代表「侍ジャパン」の事業戦略を担当している荒木重雄氏です。かつて彼が、千葉ロッテマリーンズ自体をメディア化する、いわゆる「インハウスメディア」にしようと取り組んでいた姿を目の当たりにしました。

 

以来、私の中にも「大学をメディア化したい」という想いが芽生えました。教育現場における学生たちの取り組みや学部の大切な商品である講師陣などを、客観的な視点で取材し発信していくメディアをつくりたいと考えたわけです。もちろん、大学の戦略広報センターや入学センターなどもインハウスメディアですが、教育現場で起きている情報をよりダイレクトに学部主導で発信したい、そうした発想から創刊したのがこの「Kicky!」です。

 

 

広報セクションだけに頼らず、学部自らが広報する

 

学内の情報を発信するということは、単に学外に届けるということだけではなく、学生や教員にとっても、自分たちがどのような取り組みに参加していて、実際どのように見られているかという現状を把握するいい機会にもなるはずです。また同時に、編集に携わる大人たちの第三者的な視線が学内に存在することによって、学生たちにとっても「見られている」という緊張感が増して、より充実した学生生活を過ごせるのではないかと期待しています。

学生だけに限った話ではありません。私たちの取り組みを見た各方面の方々から、「間違っている」「不十分だ」などお叱りの声を、私たち学部自体が受けることになるかもしれません。しかし、そうした声もぜひお聞かせいただきたいもの。私たちも真摯になって、さまざまな声に耳を傾けて学びながら、新しい教育モデルをつくりあげていきたいと思います。教育に正解はないのですから。

 

 

Kicky!」が新たな教育を生み出すエンジンになる

 

近い将来、学生たちもこの「Kicky!」の企画・制作・編集に関わってもらって、彼らの成長の場にしてほしいと思っています。また、情報を提供することで社会の役に立てるように、たとえばサービス創造に関わる社会的動向が読み取れるさまざまなデータを、ゼミや学生プロジェクトで集めて掲載するというのもいいかもしれません。あるいは、サービス創造に関して、さまざまな企業の方々や保護者あるいは他大学のみなさんともディスカッションできるような場になっていく、なんていうのもいいですね。

将来的には、「サービス創造」に関わるさまざまなヒントが詰まっているメディアに育つことを期待しています。

 

 

 

<プロフィール>

吉田 優治(よしだ・ゆうじ)

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専門:経営管理論・経営教育論・サービス創造論

1987年青山学院大学大学院経営学研究科博士課程修了。同年、稚内北星学園短期大学経営情報学科専任講師。1989年千葉商科大学商経学部専任講師に就任、助教授、教授を経て、2009年新設の「サービス創造学部」初代学部長・教授に就任、現在に至る。アメリカ経営学会・経営教育部会日本担当理事、2013年8月より全国ビジネス系大学教育会議会長。アメリカ経営学会よりアワード(2001~2008年)、韓国経営教育学会より学術賞(2009年)、日本マネジメント学会から国際貢献表彰(2013年)など。2000年ボストン日本人研究者交流会(Boston Japanese Researchers Forum)設立。

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