2014年10月19日――。千葉県市川市・京成国府台駅前通り商店街「根本発展会」では、秋晴れの空の下、音楽イベント「ねもフェス」が開催された。祭りを運営する「ねもポジ会」とともに、企画・運営に携わった千葉商科大学サービス創造学部のプロジェクト実践B・エンターテイメントチームの奮闘ぶりをレポートする。

 
「ねもフェス」とは、京成国府台駅前通りの商店街「根本発展会」で開催される祭りのこと。2年前から、「ねもポジ会」と呼ばれる運営チームが中心となり、根本発展会を盛り上げたい、学生や子どもたちを笑顔にしたいという思いで、高齢化の進む商店街を活性化するイベントとして企画している。
当日のイベント会場は、“メインステージ”を中心に、珍しい楽器の演奏や製作を体験したり路上ライブを楽しんだりする“体験コーナー”、“フリーマーケット”、“飲食ブース”の4つのエリアで形成された。
メインステージで「ようかい体操」や「ビンゴ大会」が行われるなど、子どもを中心に老若男女が楽しめる内容だった「昼の部」。一方「夜の部」は、メインステージ前にテーブルと椅子が設置された“野外バー”さながらに、アコースティックな音楽演奏やベリーダンスなど、大人がお酒を嗜みながら音楽を楽しめる数々の趣向が凝らされ、大勢の来場客で賑わった。
 
今年、「ねもポジ会」とともに企画・運営を担当したのが、千葉商科大学サービス創造学部「プロジェクト実践B」を受講するエンターテイメントチームの学生たち16人。元々「ねもポジ会」の主催イベントに参加していた田中そのかさん(サービス創造学部1年)が、「勉強のためにやらせてください」と先生に直談判したことがきっかけだった。
夏休み直前の7月半ば、「ねもポジ会」から正式に参加依頼を受けた学生たちは、「音楽イベントを実施したい」という思いで集まったプロジェクトメンバーだったこともあり、彼らにとって初めてとなる学外のイベントづくりに参加することを全員一致で決意。さまざまな困難に直面しながら、「ねもポジ会」メンバーとともに、わずか2か月でこのイベントをつくり上げた。
 
担当の西尾淳教授は、「経験がない学生たちですから、迷惑をかけてしまうのではないかと最初は心配でした。しかし、『音楽フェスなら盛り上げられる』というモチベーションを支えにしながらイベントづくりを経験することが、彼らにとっての実りになるのではないかという思いもありました。プロジェクト合宿の初日に、イベントプロデューサー・演出家として活躍中の大学OBから『いつ誰がどこで何をするのかをしっかりと決めごとにしないと失敗する』など、ライブイベント運営の苦労などを話していただいたことで、彼らに責任感が芽生えたと思います。座学では学べない“実践”で得た経験は、今後彼らの大きな力になっていくことでしょう。たとえば、大物を呼んできて集客をアップさせるのもいいのですが、それではサービスを“創造”しているとは言えません。その点、学生なりに考えて、これだけのお客様を集め盛り上げられたことは褒めてあげたいと思います」と学生たちの奮闘ぶりに目を細めた。一方で、「“高齢化の進む商店街の活性化”という奥が深いテーマに向き合うには時間も足りず、この問題に正面から向き合うための勉強や調査をした上で企画にいかせたかと考えると、不十分な面もあったと思います。さまざまなプロジェクトとコラボレーションするなど、これを機に、継続的に集客できるような仕組みをつくれるように考える場にできるといいかもしれませんね」と語り、次なる展開を見据えた。
 

 

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イベントに向けてミーティングを行うプロジェクトメンバーたち

 
 
今回のイベントリーダーを務めた濱翔汰くん(サービス創造学部2年)は、「将来このような仕事をしたいと思っているので、夢への第一歩となりました。お客様もたくさん来ていただき、僕の中では120%の結果でした。しかし、リーダーとしての自覚が足りず、組織の上に立つ難しさを感じました」と手応えと課題を口にした。また、副リーダーを務めた小川敦也くん(サービス創造学部2年)は、「サービス創造学部は、いいサービスを提供するために学ぶ学部。子どもや大人がどうしたら楽しんでくれるか、まさしくそれが実践できるイベントだったと思います。副リーダーという立場の経験を生かして、今後携わる人たちが動きやすい環境を作ることができたらと思います」と振り返った。一方、田中さんは「何もない状態から、作り出すイベントの大変さを感じました。お客様がたくさん集まってくれたことは嬉しかったのですが、考え方が甘かった部分もありました」とイベントづくりの難しさをあらためて実感した様子だった。
 

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イベントの大盛況ぶりに笑顔を見せる小川くん(左)と濱くん(右)

 
 
学生を見守りながら指導してきた「ねもポジ会」の面々からは、「学生からたくさんエネルギーをもらうことができた」(代表・鬼頭矢氏)、「最初に会ったときは心配もしたのですが、学生たちそれぞれが徐々に持ち味を発揮し始め、光るようになってきました。素晴らしい学生さんたちと一緒にイベントを作ることができて幸せです」(広報担当・土肥佳子さん)と、今後も学生たちと深い関係を築いていきたいという抱負が聞かれた。

若き学生たちと地元の人々の力が一体となった音楽フェス。熱気に包まれたイベントは、大盛況のうちに幕を閉じた。
 
 


京成国府台駅前の商店街「根本発展会」

 


ジャンベ、カポエラといった変わった楽器を楽しめる体験コーナー

 


子どもたちがメインステージ前でブレイクダンスを披露

 


メインステージで、千葉産のお米や豚肉などが当たるビンゴ大会がスタート

 


三輪芳華さん(政策情報学部4年)がメインステージの司会進行を務めた

 


「ねもポジ会」の方たちと確認しながら作業を進める学生たち

 


田中そのかさん(左)は、姉妹によるユニットで路上ライブを行った

 


「リアルな体験は学生たちにとってありがたい学びの場」と語る西尾淳教授

 


「夜の部」、大人たちもお酒を片手にアコースティック音楽の演奏を楽しんだ

 


「学生たちが本当に頑張ってくれた」と笑顔を見せる「ねもポジ会」代表・鬼頭矢氏

 


イベント終了後のプロジェクトメンバーの笑顔にも達成感と安堵感が漂う

 
 

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【ねもフェス 開催概要】
主催:根本発展会
共催:ねもポジ会
後援:根本自治会
協力:千葉商科大学サービス創造学部 プロジェクト実践B・エンターテイメントチーム
   千葉商科大学地域連携ネットワークセンター