千葉商科大学サービス創造学部の公式サポーター企業に、「ソフトバンク株式会社」(以下、ソフトバンク)と「公益財団法人東日本大震災復興支援財団」(以下、財団)が、今年から加わった。現在、同学部の公式サポーター企業は58社となり、さまざまなサービスにかかわる企業と連携したカリキュラムによって、学生たちは貴重な知識を得るだけでなく、社会人として必要なマナーやコミュニケーション力など、現場のプロから直接学んでいる。
「大学との連携は初めて」と語るのは、ソフトバンク株式会社の人事総務統括 CSR統括部 統括部長の池田昌人氏だ。池田氏に、連携の狙いや今後の展開について話を聞く。
人を変えていくのは教育しかない
ソフトバンクグループの創業者である孫正義氏らが発起人となって2011年7月に設立された公益財団法人東日本大震災復興支援財団は、「みんなでがんばろう日本」をスローガンに、被災地の子どもたちが夢と希望を育む環境を実現するための活動を行っている。そもそも、同学部の「千葉ロッテ・プロジェクト」の学生たちが、毎年行われている大学の冠試合で、同財団と連携してチャリティ活動を実施してきた。その縁がきっかけとなり、このたび千葉商科大学サービス創造学部の公式サポーター企業に加わることになった。
「情報革命で人々を幸せに」を企業理念とし、最先端のテクノロジーを駆使しながら、IT界を牽引するソフトバンク株式会社。そのソフトバンクが同学部と公式に連携する決め手となったのは、同学部でスポーツビジネス・プロジェクトをはじめ、スポーツマネジメント論やスポーツマンシップ論を担当する中村聡宏専任講師との出会いがあったからと、池田氏は語る。
「今回千葉商科大学の皆さんとご一緒することに決めたのは、中村先生がスポーツを通じた教育を行っている中で、『多くの社会課題が人の問題である。人を変えていくのは教育しかない』という言葉に共鳴したからです。社長の孫は常日頃『事を成す』という言葉を使うのですが、それは『人が事を成すのであって、モノが事を成すわけでない』という意味です。私たちの思いと同じベクトルに向かっていることに、強くシンパシーを感じました。また、千葉ロッテ、千葉ジェッツ、ジェフ千葉という3つのプロスポーツチームと連携するプロジェクトとも関わり合いを持つことで、今後私たちが想像しないような有機的なつながりが生まれてくるのではないかという期待感もあります」と狙いを明かす。
同時に、財団も公式サポーター企業の仲間入りを果たした。「財団としては、皆さんに現状を共有してもらうことが第一のミッション。私たちのような現場を知っている団体が、より現実を正しく理解してもらい、より深く知ってもらうためのハブになる役割を果たしていかなければならないと考えています。社会貢献を意識しながらプロジェクト活動を推進している学生さんたちの様子を見てきました。東北の方のため、また、千葉ロッテ・プロジェクトをはじめとするスポーツビジネス・プロジェクトのメンバーのため、そして、財団のため。そんな、三方よしの関係ができればいいと思っています」と財団の事務局長も努める池田氏は話す。
スポーツ×ITで新しいサービス創造を
同学部のスポーツビジネスを学ぶプロジェクト活動と連携し、ソフトバンク株式会社が推進するスポーツ×IT、スポーツ×CSRという観点で新しいサービス創造に挑むことになるというが、具体的にどのような連携を考えているのだろうか。
「ソフトバンクの社会貢献を行う上で対象とするジャンルのひとつが若者向けです。学部のスポーツビジネス・プロジェクトにかかわりながら、スポーツマンシップ教育で若者たちを育て、カッコいい大人へと導きたい。そのために、ITを絡めたプロジェクトを構築していきたいと思っています。その結果が、2020年の東京五輪・パラリンピックも契機にしながら、日本国民全体に広がっていくようなムーブメントにできればうれしいです。たとえば、カッコいいプレーを見るとか、カッコいい人の生き方を知るというのは、人が生きていくうえで原動力のひとつになります。秋田のバスケットボールアカデミーの先生が、『上手くなりたい、上昇したいという気持ちがあるなら、自分がどのようになりたいか想像してほしい。もし想像ができない人は、世界や日本のトップ選手のプレーを見てなりたい自分を想像できるようになることが必要』だと言っていました。地上波での放送が少ないマイナースポーツも、プロ野球、サッカー、バスケットボール、テニスなどのスポーツを生中継でスマートフォンやパソコンで楽しめるインターネットサービス『スポナビライブ』で観られるようになったり、スマートフォンでスポーツ選手などによるプライベートレッスンを受講できるサービス『スマートコーチ』を学校現場へ導入したりするなど、ソフトバンクが提供するICTサービスを活用していただきながら、若者たちが目的や夢を持ち、さらには技術向上へとつなげられるようにできればと思っています。」
- ソフトバンクのCSR統括部と大学側で、スポーツ×IT、スポーツ×CSRをテーマに、連携についての会議を定期的に実施。池田氏は、「スポーツ×ITを通じて、若者たちのめざす入り口と成長の両方を支えたい」と語る。
自由な発想の中から生まれるシナジーに期待
これから千葉商科大学サービス創造学部と連携を強化していくうえで学生たちに期待することとは。
「大学生はアイデアが柔軟で、いろいろなことを思いつく状態にあると思っています。ですから皆さんには、正しいか、間違っているかなどとあまり意識せずに、自由な発想をしてほしい。ジャストアイデアでも、私たち大人が持っている過去の知見を組み合わせることで、それが面白いものになる可能性もありますからね。大人の右にならえで小さな大人になってほしくない。自由な発想の中から生まれる新しいシナジーに一番期待をしています。大学と連携するのは、単なる話題性だけでなく、教育の中から新しいアイデアが生まれて大学と新しい関係を築くことができたら、私たちとしてはうれしく思います」と期待を寄せた。
ソフトバンクが公式サポーター企業に加わり、学生たちにとってどのような影響をもたらすのか。スポーツ×IT ×教育で、2020年東京五輪・パラリンピック、そしてその先に向けて、どのような新たなサービスが生まれるだろうか。今後の展開に期待しよう。