金木寛之
ぴあ株式会社
アリーナ・スタジアムソリューション推進局
ファンマーケティンググループ
ぴあといえば、チケット販売や、情報誌「ぴあ」など、エンターテインメント業界で名を馳せ、趣味を仕事できる夢のような会社、といったイメージだ。では、実際の業務内容やチケット販売のしくみはどうなっているのだろうか。千葉商科大学のOBであるぴあ株式会社の金木寛之氏が語った。
ぴあの事業の柱は4つ
1972年に月刊誌『ぴあ』が創刊してから40年以上、日本のエンターテインメント業界を牽引してきた株式会社ぴあは、時代の流れとともに事業を発展・拡大させて業績は右肩上がり、2017年には売上高1700億円を見込む。
現在のぴあの事業の柱は、チケット販売、コンテンツビジネス、メディア展開、ソリューションビジネスの4つ。
「チケット販売は、1984年からスタートした主力ビジネスで、コンテンツビジネスは、ぴあが出資をして権利を獲得してイベントを発信する事業です。最近ではポール・マッカートニーのコンサートやリアル脱出ゲームの主催をしました。メディア展開は『グルメぴあ』、『トラベルぴあ』といった雑誌や書籍の企画・出版。そして、4つ目のソリューションビジネスは、辞書的な言葉で説明すると、『経営上の問題を、情報技術などを用いて解決していくこと』です」と金木氏は話す。
「ぴあのチケット販売のシステム」とは?
ぴあの主力事業であるチケット販売の歴史を簡単におさらいしよう。
インターネットが普及する以前、チケットがほしい人は、チケット販売窓口に直接並んでいた。しかし、窓口によってチケットの割り当て数が全く違うため、ある窓口では簡単に買えるのに別の窓口で全く買えない、といった不公平なことが起こっていた。
「これを改善したのが1984年からスタートした『チケットぴあ』のシステムです。ぴあではチケットをひとつの場所で管理したので、窓口はもちろん電話からも同じ条件で買えるようになったのです。」
しかし、時代が進み、同業他社が増え、誰もがインターネットで簡単にチケットが買えるようになると、ぴあが他社より抜きん出て売上を上げるための方策が必要になった。
「そのひとつが、主催者のチケット販売の総代理店になる方法です。この立場になると、ぴあは主催者からチケット販売代行の手数料に加え、自社はもちろん、他社へのチケットの割り当ても決めることができるため、非常に有利です。一方、主催者側にとっては、煩雑なチケット管理の仕事から解放されるという双方のメリットがあるのです。」
球団の公式チケット販売サイトの運営を行う
現在、金木氏は、野球界におけるぴあのソリューションサービス、すなわち、ぴあのチケット販売のシステムや業務運営のノウハウを使って、チケットの売り上げや業務効率のアップをめざしている。具体的には、球団のオフィシャルチケット販売サイトを代行して製作し、運営する業務を行っている。球団側は、チケットの売り上げアップやマーケティングデータの収集を行うため、自分たちのチケット販売サイトがほしい。一方、ぴあは、球団のチケット販売代行で売り上げを伸ばしたい。双方のニーズが合致した形だ。
「一度サイトの製作を担うと、長く親密なお付き合いになり、継続的な売上も確保しやすくなります。」
現在は、東京ヤクルトスワローズ、阪神タイガース、横浜DeNAベイスターズ、中日ドラゴンズ、福岡ソフトバンクホークスの5球団のチケット販売サイトをぴあが手がけており、野球界全体へのぴあの影響力も高まっているという。
「我々だけでなく、ファンの方にとっても、発券手数料不要になるなどのメリットがあります。すべての人にとって、有益なシステムだと考えています。」
ぴあが求める人材像
金木氏は、千葉商科大学を卒業後、スポーツの仕事をしたいことを周囲に伝えていた。ある日、ぴあのスポーツ関連事業で人材募集をしているという話を紹介され、現在に至る。
「ぴあにはやりたいことがなんでもできるような空気が流れていて、みんな楽しさや感動が大事だというエンターテインメントの本質を忘れずに熱心に仕事に取り組んでいます。そんな空気だからこそ、生き生きした人、エンターテインメントが好き、それを届けたい思いが強い人、ぴあにしかやりたい仕事がない、という考えを持っている人材を、ぴあは求めています」と語ってくれた。
人に感動を届けるためには、まず自分が熱くなれ。千葉商科大学のOBは、授業を通して後輩たちにエールを送った。