千葉商科大学では、2015年5月にオープンした新学食「The University DINING」に続き、新学食の隣に建つ瑞穂会館をリニューアルする「The University HUB」の計画が進められている。そのHUBの目玉の一つが、地下1階に新設予定の「The University DANCE STUDIO」だ。これは、同大学サービス創造学部4年の滝澤秀斗くんが、「ダンスビジネスを展開したい」と、大学側に交渉を持ちかけたのがきっかけとなっている。同学部の吉田優治学部長も「中・高校生たちのダンスへの関心が急速に高まりつつあり、ダンスのためのスタジオづくりは大学の魅力の一つになるかもしれない」と、スタジオ建設に期待を寄せている。プレーヤーとして大会入賞経験を持つほか、海外から有名プロダンサーを招致したダンスイベントを開催するなど運営側の実績も積んできた滝澤くん。「在学中にHUBがオープンするのは、僕にとって奇跡と呼べるチャンス。ダンスのチカラを発揮する時が来ました」と意気込む彼に話を聞いた。

 


運命か必然か、“ダンス”との出会い

千葉商科大学サービス創造学部の4年生、滝澤秀斗くんがダンスを始めたのは小学校6年の時だった。何かに熱中したい、と幼少時代はサッカーや野球、テニス、水泳、空手とさまざまなスポーツに取り組んだが、どれもフィットしなかった。ところがダンスだけは違ったという。
「当時はまだダンスを習えるスクールも少なく、男の子でダンスをやる人もほとんどいませんでした。そういう状況でしたが、初めてプロのダンスイベントを見た時、僕のなかで何かが変わりました。舞台で多くの人々を前にしてパフォーマンスを披露したい、脚光を浴びて自らを表現してみたいと強い衝動を感じました。それ以来、四六時中ダンスのことを考え、ダンスに明け暮れる日々を送るようになったんです。」
 
ダンスにのめり込むきっかけのひとつが、父親が経営するダンススクールだ。エンターテインメント系の仕事を手掛けていたが、ちょうどその当時、ダンスの将来性を見込んでダンススクールの経営を始めていた。現在では東京都江戸川区でダンススクール「GOLD RUSH」を経営するほか、有名スポーツクラブのスタジオでのダンススクール業務委託も数多く請け負っている。実は“秀斗”という名前も、兼ねてから父親と親交があったEXILEのメンバー、USA氏の父親によって命名されたという。運命か必然か……さまざまな縁もあり、滝澤くんにとってダンスは掛け替えのないものになっていく。
 

17歳時の滝澤くん。この時からダンスインストラクターとしての一歩を踏み出した。


見たい・会いたい・感じたい ダンスの本場へ

滝澤くんが専門とするのはストリートダンス。ストリートダンスにはロッキング、ブレイキング、ヒップホップなど種類がいくつかあるが、彼がもっとも得意としているのは“ポッピング”だ。ポッピングは1972年ごろにアメリカ西海岸で発祥し、筋肉を緊張させたり緩めたりしてロボットのような動きを見せるダンスで、日本には80年代初頭に伝わった。マイケル・ジャクソンのダンスで一躍有名になったムーン・ウォークはその代表格である。
高校3年時には、このポッピングを主体としたグループダンスで、川崎クラブチッタで開催されたダンスアタック(中学生・高校生対象のストリートダンス全国大会)、舞浜アンフィシアターで開催されたオールジャパンスーパーキッズダンスコンテスト(日本初のキッズダンス全国大会)で優勝するなど数多くのタイトルを手にしてきた。またこれらの入賞をきっかけに、『スッキリ!!』『ZIP!』(日本テレビ系)などでのテレビ出演も果たした。
 

『スッキリ!!』(日本テレビ系)でダンスを披露した滝澤くん(中央)。

 
また、2014年8月には初めて、海外プロダンサーを招致したダンスイベントVOL.1を主催した。
「中学生のころからYouTubeが流行し、海外の有名ダンサーの映像を繰り返し見るようになりました。実際に見てみたい、会いたい、感じたいという気持ちが強くなりました。」
大学生になった滝澤くんは、ニューヨーク、フランス、カナダなど、ダンスの本場へ何度も足を運ぶようになる。生で感じるプロのダンスは格別だった。そして、自ら出向くだけでなく、国内でこのダンスの素晴らしさを披露できないかと考えるようになる。
「僕が尊敬するダンサーであり、フランス屈指のポッピングの巨匠であるワリッド氏の元へ直接出向き、日本での出演をお願いしました。友人ダンサーやダンススクールを通じて参加者を募り、500人を会場に集めることが出来ました。ワリッド氏の航空券や滞在費などはもちろん僕が自腹を切り、滞在期間中のおもてなしもしました。最終的には収支も何とか合い、イベントは成功しました。」
さらに、今年3月には再びワリッド氏を招いて、ダンスイベントVOL.2も開催した。
 

昨年主催したイベントpeaceliveにて。円になって互いにダンスセッションをした。

 


「今のお前に足りないこと」を胸に刻み

ダンスイベントVOL.3をHUBで開催できないか。滝澤くんはそう願い、今、大学側に働きかけている。
大学入学当初から、サービス創造学部の吉田学部長には「今までダンスをやってきたことはよくわかった。けれど、君にはその経験をどのように使っていくかが圧倒的に足りない。アウトプットして何かにつなげなければ意味がない」と再三再四言われてきた。
しかし、ダンスイベントVOL.1、2を通じて、それを体現できたのではないか、そして、学部長にも少し認めてもらえるようになったのでは、と滝澤くんは感じている。
「ダンス文化は以前よりずっとすそ野が広がりましたが、もっともっと一般化できると思っています。僕の使命は、より多くの人々へダンスの魅力を伝えること。誰でもいつでも、年齢を問わず始めることができるのがダンス。音楽に合わせてリズムをとるのは無条件に心地よいことだと思いませんか?」と滝澤くんは笑顔を見せる。
「HUBでは僕とこの大学にしかできないことをやってみたい。子どもから大人まで、ダンスの好きな人々をHUBへ呼び込み、ダンスと千葉商科大学の双方の魅力を伝えていきたい。日本一エンターテインメントあふれる大学にしたい!と考えています。卒業後はダンスイベントを通じて、僕が後輩たちに、リアルビジネスラーニングの場を提供したい」と夢はふくらむばかりだ。
 

3位に輝いたBIGBANG DANCE CONTESTでのパフォーマンス。

 

<プロフィール>

滝澤秀斗(たきざわ・しゅうと)

Takizawa_Shuto

2012年東京都・京華高等学校卒業後、千葉商科大学サービス創造学部入学。小学6年でダンスを始め、高校時代にダンスアタックで優勝し、TV出演なども果たす。大学入学後も、海外で武者修行にチャレンジしたり、海外のトップダンサーを招致してイベントを開催したりと精力的に活動している。吉田優治学部長ゼミ所属の現在4年生。

 
*関連動画
ダンスイベント Peace Live VOL.2
*その他ダンス動画はこちら
2010 MASTERPIECE!
SHUTO FREESTYLE DANCE SOLO
HOP PANTS
GOLDRUSH 10th Anniversary