“世界一の朝食”billsのプロデューサーが手がける
千葉商科大学新食堂「The University DINING」

“いまだかつてない新しい学食”が誕生する! 千葉商科大学は、2014年7月から建設を行ってきた「The University DINING」という名の学食を5月11日(月)にオープンする。この学食をプロデュース・運営するのは、「世界一の朝食」として知られるカフェレストラン「bills」やカフェブームの先駆けとなった「Sign」、NYで人気のチョコレートバー「MAX BRENNER」を運営するトランジットジェネラルオフィス。オープン直前の4月24日(金)、千葉商科大学で行われたオープニング発表会の様子を、Kicky!編集部がレポートした。

 


学食を通し、新たなムーブメントを

木漏れ日の入る開放的な空間、木のぬくもりを感じさせる「The University DINING」――。千葉商科大学に誕生した「The University DINING」は、広さ1120.30㎡のフロアに350席を設置した新しい学食だ。ランチタイムはもちろん、授業の合間や少人数でのゼミなど、学生たちにとって新しい発想が創造されるような環境を提供し、キャンパスライフの新しい拠点となることを目指している。オープニング発表会では、トランジットジェネラルオフィス代表取締役社長・中村貞裕氏をはじめ、各分野で活躍する多くのクリエイターがこの「The University DINING」にかける想いを語った。
 
今回、学食が新設されるにあたって指揮をとった同大学、サービス創造学部の吉田優治学部長は、「“お洒落をして来たい学食”、“彼女を連れてきたい学食”、“1日中居続けたい学食”などコンセプトもいろいろ考えましたが、最終的には、“世界一ワクワクする学食”にしようという話になりました。今回、たくさんのクリエイターの方たちにかかわっていただきましたが、日本広しといえど、こんなに素晴らしいクリエイターをそろえられる大学は、なかなかないと思います。学生が、大学が、このプラットフォームを使って、どんな創造をするのかが勝負どころ。私たちサービス創造学部に、経済産業省も注目してくれています。学部を中心に大学全体で、新しい学び方や教育のあり方のモデルを創りたいと思っています」と抱負を述べた。
 
学食のプロデュース・運営を手がけ、この春より同学部の特命教授も務める中村社長は、「以前から学食には興味がありましたので、今回のプロジェクトにかかわることができるのは光栄だと思っています。僕の学生時代を振り返っても、ワクワクする学食はありませんでした。これまで、日本にないカルチャーをつくりたいと仕事をしてきましたので、僕らがかかわることで大学の学食に新たなムーブメントをつくりたい」と意気込みを見せた。
 


日本を代表するクリエイターたちが参画

内装のデザインを手がけた新進気鋭のクリエイター、ラインの勝田隆夫代表取締役は、「楽しいと感じてもらうような空間づくりがデザインの根底にあります。普段は、商業施設でインテリアデザインをやらせてもらっていますが、今回は学生たちに楽しさやワクワクする気持ちを感じてもらえるチャンスと思って、参加させていただきました」と参画した意図を語った。
 
そしてナイフとフォークをモチーフにしたロゴを手がけたのは、ダイアグラムの代表取締役、鈴木直之氏。鈴木氏は、表参道ヒルズをはじめとするさまざまなロゴデザインを行う日本を代表するアートディレクター・グラフィックデザイナーだ。「ロゴに関しては脇役的な存在だと思いますが、大学の新しい学食ということで、どこに出ても恥ずかしくないようなものに仕上げました。食堂という機能がひと目ではわかるようにロゴマーク自体がピクトグラムであり、同時に名称の頭文字UDを使用したシンボルマークにしました」とコンセプトを明かした。
 
「学食ということで、年齢や性別、体型など幅広い方々にどうやったら似合うのか、空間にマッチするものがつくれるのかを意識しました」と、ユニフォームのデザインについて語ったのは、フューチャーインの小沢宏代表取締役。「フレッシュで爽やかなユニフォームを心がけ、ボーダーを使用。本来は真っ白いコックコートも、ボーダー柄で縁取るなど全体的に統一感がでるデザインにしました。また、帽子の横にロゴを入れるなど、細かい演出も施しています」と、ユニフォームデザインへのこだわりを紹介した。
 
プロジェクトアドバイスを行ったパラグラフの長崎義紹氏は、「学生が喜ぶだけでなく、千葉商科大学にとってどのような新しいブランディングができるかが重要。それを軸に、コンセプトを調整しました」と戦略を語った。
 


プラス1のオリジナルメニューを

カフェテリアでは、「美味しいご飯をバランスよく食べられる」をコンセプトに、地場のもの、季節のものを取り入れながら、主菜4種、小鉢8種、スープ2種、主菜5種をそろえた定食のほか、朝8時半から夜まで使えるベーカリーができた。
ベーカリーメニューを監修したのは、東京で人気のカフェ、自由が丘ベイクショップを運営する代表の浅本充氏。「美味しくてワクワクする学食なので、美味しいコーヒーが飲めて、美味しい食事がとれる空間に、美味しいベーカリーを置けたらいいなと思い、このプロジェクトに参加しました。メニューは、マスタードを少しいいものに変えたり、チーズもいいものに変えたりとか、すべてにプラス1を心がけた。この場所で、新しいカルチャーを手に入れてもらいたいという思いです」と話す。
 
定食のメニューも、「ボリュームある単品でお腹いっぱいにさせる、というのではなく、多品目をバランスよく提供するというのがこのダイニングの一番のコンセプト。メニュー自体はあじフライやハンバーグ、ポテトサラダなどオーソドックスなものを提供するが、和のメニューに洋の、洋のものに和のテイストを加えたり、ドレッシングやソースを変えるなどひと手間加えたりすることで食べ慣れた味をバージョンアップしている」と、このダイニングならではのメニューを展開していくという。
 
「The University DINING」の建築は、時間の移ろいや四季折々の天候の変化を感じられるのが特徴だ。約1000パーツの木構造LVL材(単層板積層材)を上下2段に組み、細い鉄骨柱で支えている。また、自然界で人に優しい1/fゆらぎのリズムを木の梁に利用したという。
 
今までに見たことがないワクワクする学食が千葉商科大学に誕生した。ここからどのようなカルチャーが生まれるのか、今後の展開に注目だ。
 
 

定食のメニューは500、600円の2種類。リーズナブルな価格で、主菜、小鉢、スープと麺やライスを選ぶことができる。
アジフライやポークジンジャーなど、ボリュームのある主菜は学生たちにとっても満足のいくものだ。
主菜で選べるカレーは、カフェ「Sign」の定番メニューを取り入れた。
陣頭指揮をとったサービス創造学部の吉田優治学部長(左)と、プロデュース・運営を行ったトランジットジェネラルオフィスの中村貞裕社長(右)。
内装デザインを手がけたラインの勝田隆夫代表取締役(中央)と、自由が丘ベイクショップを運営する代表の浅本充氏(右)。
シーラカンスK&Hの工藤和美代表取締役が建築を担当。「学内の校舎はコンクリートの建物なので、学食は木造のものにして、みんなが憩うことができる場所にしたかった。」
ロゴを手がけたダイアグラムの鈴木直之代表取締役(左)と、ユニフォームのデザインを行った小沢宏代表取締役(右)からも笑みがこぼれる。
ユニフォームのデザインは、ボーダーをベースに、チャーミングで清潔で小ギレイをイメージして仕上げた。
キャップのサイドにあしらわれたThe University DININGのロゴ。
オープニング発表会では、アイスコーヒーやアイスティ、スペシャルジュースといったウェルカムドリンクのサービスも。
日本を代表するクリエイターたちが参加。プロジェクトを進行してきた左から西尾淳教授、勝田隆夫氏、鈴木直之氏、吉田学部長、中村貞裕社長、小沢宏氏、浅本充氏、長崎義紹氏。
BGMを担当したトランジットジェネラルオフィスの江頭ミニマム康郎氏は「午前中はゆったりと、午後は眠くならないようノリよく、そして、カフェタイムも落ち着きすぎない音楽をセレクトした」と話す。
自由が丘ベイクショップの協力のもと、サンドウィッチやトルティーヤ、デニッシュなど、豊富な種類のベーカリーが並ぶ。
さまざまなシーンで学生たちが利用できるように、テーブル席のほか、ゆったりくつろげるソファー席など、350席設置した。
ダイニング中央には、コーヒーやベーカリーなどが購入できるカフェコーナーが設けられている。
DJブースからはノリのよい音楽が流れる。DJブースの女性がサンドウィッチ片手にハイ、ポーズ!
会見後も多くのメディアから質問が飛ぶ。注目の新学食の誕生だ。
ガラス張りで開放感のあるのが特徴的なThe University DININGの外観。