千葉商科大学×イオンエンターテイメント株式会社

千葉商科大学サービス創造学部では、同学部の公式サポーター企業である「イオンエンターテイメント株式会社」と協働し、「映画興行ビジネス」をテーマにした全8回の特別講義を10月末開講する。「映画興行市場におけるサ-ビス創造」(講義名:サービス創造実践1B)と銘打った同講義では、新作2本、旧作1本の映画鑑賞に加え、同社社長の牧和男氏ら業界を代表するビジネスパーソンが続々と登壇。現在、同学部では本講座を筆頭に「映画」にまつわるプログラムが始動しており、Kicky!編集部ではその取り組みを追った。


経済産業省に採択された教育プログラム

同講義は、経済産業省の「産学連携サービス経営人材育成事業」として採択された同大学サービス創造学部の教育プログラム「インキャンパス・リアルビジネス・ラーニング」(※)のひとつ。これまでも「資生堂ジャパン株式会社」や「ぴあ株式会社」、「ALSOKビルサービス株式会社」など、同学部の公式サポーター企業と連携し、さまざまなプログラムを実施してきた。
 
イオンエンターテイメントは、イオンシネマ 84 劇場を運営、国内最多の 709 スクリーンを展開する映画興行会社。映画館入場者数の伸び悩み、家庭で映画鑑賞ができるVODサービスの拡大、若い世代の洋画離れといった映画業界の厳しい現状を受け、今回、実学を教育の柱とする同学部とともに、シネコン業界では国内初となる本格的な「シネマ教育事業」に乗り出す。正課科目として単位付与されるこの講義を通して、学生たちは映画業界で活躍するゲストから講義を受け、さらに同社が提示した課題に対し、マーケティングや経営学の知識を活用しながらプレゼンテーションを行って「映画興行ビジネス」について深く学ぶ。
 
 

(※)インキャンパス・リアルビジネス・ラーニング
千葉商科大学のキャンパスで行われているリアルな企業活動からサービスを学び、企業とともにサービスを創造することを通じ、サービス創造もしくはサービス経営に資する人材を育成する教育システムととして構築することを目的とする。
 


映画で刺激を与えたい

なぜこのようなカリキュラムを発案したのか。同社社長の牧氏は、福島県・会津若松市との連携で行っている「あいづっこ人材育成プロジェクト」の体験がきっかけと明かす。
「あの町には映画館がなかったのですが、“本物に出会う”という企画で、中学校でぜひ映画をテーマに講義をしてもらえないかという話が市からありました。その際、中学生からさまざまな意見をいただき、映画ビジネスの市場拡大は重要な課題ですが、“興行”だけではなく、映画を通した“教育”や“健康増進”という視点があるかもしれないと思いつきました。学生たちの将来に役立つ新しいことが何かできないか。そこで大学と一緒にサービス創造を担う人材育成をめざすカリキュラムづくりに着手したのです。」
また、同学部の吉田優治学部長は、「映画を見ながら刺激を受けてほしいと思っています。学生に対しては、映画を通してグローバル化が進む海外の様子を感じてほしい。また、6,000人のキャンパスをマーケットとしてとらえ、企業にリアルなビジネスに取り組んでいただき、そこからも学びたいと思います」と狙いを語る。
 

イオンエンターテイメント株式会社の牧和男社長(左)と、千葉商科大学サービス創造学部吉田優治学部長(右)が対談。「教育とは本物に触れることが大事。今後は自分たちで本物を見つけていってほしいと思っています」と牧社長は学生たちにエールを送った。

 


ショートフィルムのエキストラ体験

さらに9月下旬には、講座開講に先駆け、映画撮影ワークショップが開催された。これは、同大学CMや学部PV制作も手掛けてきた株式会社4thFILMが、パリ映画祭参加予定のショートフィルム『校庭の轍』撮影の一部を、同大学キャンパスを活用してワークショップ形式で行ったもの。メガホンを握ったのは、4thFILMの新進気鋭の監督・大金康平氏。学生たちは、エキストラ出演や撮影補助として本作に参加し、中には演技が認められて、セリフや演技を求められる学生もいた。
 

『校庭の轍』は、喜び、苦悩、葛藤を繰り返す若者たちの大学から社会人までの7年間を描いた青春ストーリー。

 

学生たちもエキストラとして映画出演を果たした。エキストラとはいえ、大金康平監督(真ん中)から、直接演技指導を受けて緊張の面持ち。

 


プロの仕事を間近にした学生たちに話を聞いた。

「シーンづくりや空気づくりも、役者さんたちだけではなく、エキストラである僕らも考えなければならなく、緊張感をもってやることができました。ひとつのシーンを撮るのに、すごく時間がかかることも分かりましたし、その場に応じてシーンの撮り方が変わることもあったので、プロの仕事を実感できました」(橋本圭祐くん/同1年)
 
「人生の中で経験できないようなことをしてみたかったので参加しました。俳優さんのセリフの言い方や動きにいたるまで本当に細かい指導で、ひとつの作品がこうやってつくられているのだということを学びました」(新井恭平くん/サービス創造学部1年)
 
「芝居の魅力は、全員の力でひとつの作品を仕上げるところにあると思います。改めて人とのコミュニケーションや人を大事にする仕事だと感じました。自分自身も、心配りや気配りなど、人を大切にしたいと思っているので、この経験を機により目標に近づけるように頑張っていきたい」(横川一星くん/同3年)。
 
皆一様に、「貴重な機会が得られた」と、目をキラキラさせながら話していた姿が印象的だった。
映画は、まさに、感動を体験できるひとつの場。
この秋、「映画」をキーワードに学生たちはますます刺激を受けることになりそうだ。
 

撮影に参加した橋本圭祐くん(同1年/前列左)、新井恭平くん(サービス創造学部1年/前列右)、渡辺祐太くん(同3年/後列左)。横川一星くん(同3年/後列右)は、「みんなで楽しむことができて、今後につながるよい体験になりました」と振り返った。

 

スタッフの方たちとともに。この日は、12時間近くに及ぶ撮影となったが、疲れた様子も見せず、終始笑顔があふれていた学生たち。お疲れ様でした!!