6大学合同 研究報告会「MRGP」

2015年12月、ゼミでマーケティングを学んでいる学生のための研究報告会「MRGP」が開催された。参加したのは、千葉商科大学をはじめ、九州産業大学、成蹊大学、東洋大学、駒澤大学、中村学園大学の6大学。「ダイレクトマーケティング」をテーマに、23チームがアイデアを発表した。


今回のテーマは「ダイレクトマーケティング」

MRGP(Marketing Research Grand Prix)とは、各大学の学生たちが行う研究報告会のこと。マーケティングに関する専門知識や実務的センスを磨くとともに、問題発見、問題解決、プレゼンテーション、質疑応答などに関する能力の向上を目的としている。予選を勝ち抜いた5チームが決勝進出することができ、最優秀チームが決まる。
今年度の報告会は、駒澤大学で開催された。テーマは、「ダイレクトマーケティング」。小売店などの外部の流通チャネルを介さずに直接(ダイレクト)に、消費者に製品を販売する方法のことである。
 

千葉商科大学サービス創造学部からは松本大吾ゼミのメンバーが参加。発表を前に、松本准教授(右端)が学生たちの緊張をほぐす

 

今回で4度目の参加となった千葉商科大学サービス創造学部の松本大吾ゼミは、5チームが出場した。各チームの研究テーマは以下のとおりだった。
 
●A班「感情による広告の説得効果」
●B班「パッケージデザインによる広告」
●C班「口コミを使い売り上げを伸ばす」
●D班「マズくても売れた?その理由とは!?-話題性の構成要素における考察-」
●E班「消費者のスキマをねらう。」
 
同大学においては2年生を中心に参加したが、実質3カ月弱での調査となった。それもあって、「仮説を立証することができなかった」「アンケート対象者が十分でなかった」「十分な検証ができなかった」といった反省の声も上がった。
 

A班の冨澤良くん(右/サービス創造学部2年)は、「とにかく緊張しました。他大学の発表はしっかりしていてすごいなと痛感した」と感想を述べた。

 


松本ゼミ、予選2位で惜しくも決勝進出ならず

決勝進出にあと一歩のところまで迫ったのが、「マズくても売れた?その理由とは!?-話題性の構成要素における考察-」を行った松本ゼミD班だ。大学生30人を対象に、商品の購入動機に関するアンケートを行い、その結果、購買動機には「話題性」が大きくかかわっていると考えた。その上で、「ライカビリティ(興味・関心)」「突っ込まれビリティ(突っ込みたくなる要素)「トーカビリティ(話題力)」「シェアビリティ(共有)」の4つの構成要素から話題性を分類。さらに、それらの項目が購買行動に作用しているかアンケート調査を行い、その結果、ライカビリティとトーカビリティが購買行動につながるという結論に結びつけた。講評した審査員は、研究テーマを高く評価する一方で、今回のテーマの「ダイレクトマーケティング」につなげられなかったことを反省点として挙げた。
D班の清水雄飛くん(サービス創造学部2年)は、「話題性がきちんと定義づけられて、今回のテーマに結び付けられたらきっと、決勝の舞台に立てたのではないか。時間の制限もあって、最後の結論まで行きつかなかった」と悔しそうな表情を見せた。その上で、「決勝の発表を見ても、そもそも論文などで提唱されているものがあった上での研究方法が多かったように思います。僕たちの研究は、そうした先行研究がなかったので、一から考えていいかなければならなかった。もう一年かけて、ブラッシュアップして、再びこの報告会に臨むことができたら」と意気込んだ。
 

ゼミ生の期待を背負って登場した松本ゼミD班の清水雄飛くん(右/同学部2年)と長妻千尋さん(左/同学部2年)。清水くんは「松本先生からも研究テーマ自体、面白いといっていただいていたので、本当に悔しい」とコメント。

 

3年生で参加した同学部の荻久保翼くんは、「2年生それぞれ、すごく短い時間で研究を行い、ここまでの発表ができたのは素晴らしかったと思います。この経験を踏まえて自分たちの力に変えてほしい」と、後輩たちをねぎらった。
 

予選は、ゼミの教員たちが審査員を務めた。写真は、成蹊大学の井上淳子准教授。

 


最優秀チームは、緻密な研究が高評価

決勝進出を果たした5チームのうち、最優秀チームに輝いたのは、駒澤大学経営学部市場戦略学科の中野香織ゼミのC班となった。テーマは、「クチコミへの返信が閲覧者のブランド態度に与える影響」。クチコミに対して、企業側の返信はもちろん、絵文字などの非言語情報を加えることが大事だと仮説を立てた。その上でアンケート調査を行った結果、閲覧者に商品情報の記憶が残り、企業側の好感度や丁寧さが伝わると分析。調査を何度も重ねるなど、緻密な研究も高い評価につながった。
 

駒澤大学の深沢キャンパスアカデミーホールにて行われた決勝。予選の教員たちに加え、外部審査員を交えての審査となった。

 

最優秀チームに選ばれた駒澤大学経営学部市場戦略学科の中野香織ゼミのC班のメンバー。

 

千葉商科大学サービス創造学部の松本准教授は、「審査には、審査員の個性や判断が出てしまう部分もあります。しかしながら、最優秀チームにいたっては、発表を聞いても頭ひとつ抜けていました。運に頼っているだけではダメ。決勝に進出したチームは、スケジュール管理や、追い込みもすごかったんでしょう。失敗から学ぶことは多いので、このような結果を受けて学生たちがいい経験に代えてほしい。過去には2位入賞したゼミの先輩もいますから、力を尽くせば必ず良い結果は残せる。それを彼らが実感してくれれば、挑んだ甲斐があると思います」と、学生たちにエールを送った。

 

参加した学生たち。「他大学の学生たちの前で発表することは、普段味わえない経験。教員のアドバイスをしっかり実行に移せるか、それが自分自身を伸ばすカギですね」とは担当の松本准教授。

 
 
【参加大学】
・千葉商科大学サービス創造学部(松本大吾准教授、5チーム)
・九州産業大学商学部商学科(五十嵐正毅准教授、2チーム)
・駒澤大学経営学部市場戦略学科(中野香織准教授、3チーム)
・成蹊大学経済学部経済経営学科(井上淳子准教授、4チーム)
・東洋大学経営学部マーケティング学科(大瀬良伸准教授、7チーム)
・中村学園大学流通科学部流通マーケティング部門(中川宏道講師、2チーム)