千葉商科大学サービス創造学部
In-Campus Real Business Learning/市場調査ユニット

千葉商科大学サービス創造学部では、2015年度から経済産業省の「産学連携サービス経営人材育成事業」として採択された独自の教育プログラム「In-Campus Real Business Learning」を実施している。このプログラムでは、5つのユニットに分かれて、同学部の公式サポーター企業の課題解決とリアルビジネスの実践を目的に企業と学生が連携して活動。「市場調査ユニット(2015年度「キャンパスマーケットプロジェクト」より改称)」もそのひとつで、公式サポーター企業の「資生堂ジャパン株式会社」と「ぴあ株式会社」の2社の協力のもと、大学生や若者をターゲットにした新たなサービス創造に挑んでいる。

 


ライブ・エンタテインメント産業における企画開発

2015年度の「ぴあ」社との取り組みでは、「若者世代の『チケットぴあ』ユーザー獲得のためのサービス創造」という課題に挑み、学生たちはアンケート調査に基づき企画を練ってきた。関心軸×欲求軸×共有軸の掛け合わせからさまざまな企画が提案される中、「集まって眠るだけのフェス・エンタテインメントサービス」、その名も「眠(ねむ)フェス」に大人たちは注目した。
今年度の初回講義では、そのアイデアをもとに、新たな「ライブ・エンタテインメント産業」における企画開発のための、KGI(Key Goal Indicator/重要目標達成指標)とKPI(Key Performance Indicator/ゴール達成に必要な課題)を定めることとなった。担当の西根英一特命講師は、「眠フェス、もしくはライブエンタテインメントのKGIを設定したい。KGIは我々が思い描く幸せのゴール。そしてKPIは、そのゴールを成功に導くためのいくつかのハードルととらえたらいいでしょう」と学生たちに呼び掛ける。
 

担当の西根英一特命講師は、「結果として、何があればここまで達成できたか、できるんだろうと考えることは、ビジネスの中で必ず求められることです」と学生たちに伝える。


若い世代の利用率を増やすには

まず、チケット業界の基礎知識について、ぴあ株式会社の事業統括本部事業統括推進室室長の増田朋広氏から説明。エンタテインメント情報誌の出版事業からスタートした「ぴあ」社は、その後、日本で初めてコンピューターオンラインチケット販売システムを構築した。このシステムが基盤となり、現在のエンタメ業界が構成されていると増田氏は話す。それによりロングラン公演や、ドームクラスの大型会場のチケット販売もできるようになったという。
 
エンタメ業界のマーケットは、2011年を境に右肩上がり。東日本大震災が発生し、一時エンタメのイベントが自粛になったが、「自粛するだけでなく、エンタメ業界で何ができるか、被災された方たちに勇気を与えたい」という思いから、その後さまざまなイベントが開催されるようになった。2015年現在、音楽とステージだけで、市場規模は5119億円。ここ15年間でマーケットが倍になった。とくに、お金と時間に余裕がある50~60代の世代のチケット購入者が増えているとも。「購入者もですが、その世代のアーティストたちも非常に元気で、それによって市場が活性化しています」とその要因を明かす。
一方で、他の世代に比べて若い世代の利用率が少ないという。増田氏は「邦楽市場1000億の規模に対し、ぴあ会員の購入金額は84億円。若い世代の皆さんが何に興味があって、どうしたらチケットを購入するのか、そのヒントがいただきたい」と学生たちに課題を与えた。
 

学生たちからは、「チケットぴあでのチケットの当選確率はどのくらいか」「フェスと単独ライブとどちらの利益が大きいか」など、さまざまな質問がなされた。

 


参加者が主役になれるイベントが人気

最近の傾向に、参加型のイベント「自分自身が主役になれるエンタメ」が人気だと同社事業統括本部事業統括推進室チーフプロデューサーの小森崇史氏は話す。その背景にあるのがSNSだ。「たとえば眠フェスも、家でひとりで寝るのはエンタメではないけれど、みんなで一緒に寝たらエンタメになりそうですし、ランニングもジムでひとりで走っていたらエンタメではないけれど、一緒に走ればエンタメになる。もちろんそこに対価が発生しますが、みんなでその時間を共有できる楽しめるものに生まれ変わるんですよね。」
西根特命講師は、「アーティストが主役の音楽+ステージに対し、参加者が主役のリアル&バーチャル+〇〇ing。10代、20代は生まれながらにしてデジタルネイティブであり、バーチャルな友達がいる状況。デジタルを介し、Running、Sleepingなど参加者が主役のライブエンタメを考えてほしい。基本的には、皆さんでさまざまな意見を出し合いながら、創造していくことが大事です」と伝えた。
 
エンタメという枠組みも変革の時代を迎えている。若者の新しい発想で生み出す参加型イベントとはどのようなものか、今後に期待だ。
 

ぴあ株式会社の増田朋広氏(左)と小森崇史氏(中央)がプロジェクトアドバイザーとなり、学生にエンタメ市場についてレクチャーをした。

 

担当教員の仁平京子専任講師(左)も、学生たちと一緒に提案を考えるシーンも。

 
 
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