2015年春、千葉商科大学サービス創造学部も新たなスタートを切った。3期生の卒業と7期生の入学。同学部の吉田優治学部長が彼らにエールを送るとともに、今年度にかける想いを語った。


3年連続、99.3%の就職率

サービス創造学部は、今年7年目を迎えました。春には3期生がキャンパスを巣立っていきましたが、1、2期生に続き、99.3%の高い就職率を達成しました。私自身、学生一人ひとりが幸せになるような就職をさせたいと想い続けてきましたので、それぞれが納得のいく就職をすることができたことが、学部長である私にとっての一番の喜びです。
今後、学部では卒業生をどのようにサポートしていくかを課題にしつつ、卒業生が後輩たちに対して貢献するためのプラットフォームをつくらねばならないと感じています。たとえば、「Galleria商.Tokyo(丸の内サテライトキャンパス)を使って、朝の勉強会を開きたい」「SNS使って卒業生のネットワークをつくっていきたい」「卒業生が現役の学生たちに話をする機会をつくってもらいたい」などなど、すでにいろいろな声が寄せられていますので、実現できるよう進めます。卒業してからも、学部といい関係を保ちつつ、お互いに成長できればいいですね。
 


卒業生たちが学部とのいい関係を保ってくれることに期待したいと、吉田優治学部長(中央)。写真は、3期生の黒崎七海さん(左)とOGの安村美咲さん(右)。


新入学生に期待すること

4月には、7期生・228人が入学してきました。最近、とくに感じているのは、目的意識をもって入学してくる学生が多いということ。これまでの6年間の学部の活動を、みなさんが理解した上で入学してきてくれているという証でしょう。
私は1年生必修の「サービス創造入門」という授業を担当していますが、教壇からも学生たちの前向きな態度を感じ取ることができます。私を含めた教職員、ビジネスの世界でトップを走っている特命教授たち、55社の公式サポーター企業が、彼らたちにどんなワクワク感やチャンスを与えられるか。アルバイトに明け暮れている学生もいると思いますが、大学は4年間という限られた時間しかありません。ですから、学生たちは、いろいろなチャンスを生かして、それぞれが尖った人材に成長してほしいと思います。
この学部は、「活動から学ぶ」「学問から学ぶ」「企業から学ぶ」の3つの学びを掲げています。なかでも「活動から学ぶ」が目立っていますが、「学問から学ぶ」も地道に努力してほしい。そして、「企業から学ぶ」では、ビジネスの現場について語ってくれるゲストスピーカーが年間100人以上やってきます。リアルビジネスを知りたいのであれば、自分たちの置かれた状況を理解し、それぞれが興味を持ち、深く掘り下げていってほしいと思っています。
 


7期生が入学。「学生たちにたくさんの機会を提供していくと同時に、学部自体がサービスを創造していくことを見せていきたいと思っています」と吉田学部長。


さまざまなリアルビジネスラーニングの強化

経済産業省がサービス経営人材育成事業を推進しており、国からも私たちの学部をモデル学部(*1)としてご指名いただきましたが、この分野のリーディング学部として、サービス創造のための「リアルビジネスラーニング」をもっともっと強化していきたいと思っています。
まずは、5月11日にオープンする「The University DINING(学食)」、今年の秋、瑞穂会館をリノベーションして開館予定の「The University HUB」を使ったリアルビジネスラーニングを仕掛けていきます。とくに、「The University DINING」は、世界一の朝食「bills」、NY発のチョコレートバー「MAX BRENNER」の運営などを手がけたトランジットジェネラルオフィス(*2)がプロデュースをしていますが、 “Kichen”という新しい価値を一緒につくっていきたい。また、内部の清掃を担当するALSOKから清掃のマネジメント術を学ばせてもらったり、かかわっているさまざまなクリエイターと一緒にファーマーズマーケットやジャズライブを企画したりして、直接“プロの仕事”を学んでいこうと考えています。
秋学期からスタートする「キャンパスマーケットプロジェクト」も目玉企画の一つ。各社、今は若い世代のマーケットにアプローチするのに、試行錯誤している状況です。そこで、キャンパスのなかにいる6,000人の学生たちを対象に、公式サポーター企業などを中心に、学部の学生たちとともに共同リサーチ・共同プロモーションをしながら学んでもらいたいと思っています。
さらには、千葉商科大学サービス創造学部・桐生南高校共同企画「サービス創造熱血講座」(*3)のなかでシンガーソングライターの近藤薫氏によって生まれた楽曲『もうひとりの君』の原曲権も学部が買い取りました。この曲を使って、学部あるいは高校生と一緒に“プロモーション大作戦”を進めていこうと思っています。
 


5月11日にオープンする「The University DINING(学食)」。新しい学食の形をここから発信する。


スポーツの公式サポーター企業は4チームに

また、今年はJリーグのクラブ「ジェフユナイテッド市原・千葉」、社会人No.1アメリカンフットボールチーム「オービックシーガルズ」が公式サポーター企業に加わる予定です。スポーツにおける公式サポーター企業は、プロ野球チーム「千葉ロッテマリーンズ」、バスケットボールチーム「千葉ジェッツ」を含め4チームになります。日本広しといえど、野球・サッカー・バスケットの三大プロスポーツとオフィシャルに提携している学部はなかなかありません。そこにアメリカンフットボールも加わって、大学がそして学部が、4チームを連携させるプラットフォームとなり、学生たちと一緒にサービスを創造しながら新たなスポーツビジネスモデルができあがることを願っています。
さらに、今年はスポーツジャンルに数多くの人脈を持つ教員も採用しました。さらには、同学部の特命教授である荒木重雄氏(株式会社スポーツマーケティングラボラトリー代表取締役/株式会社NPBエンタープライズ執行役員事業担当)にもご協力をいただきながら、2020年の東京オリンピック・パラリンピックも見据えながら、スポーツのリアルビジネスを学ぶ場を積極的につくっていきたいと思っています。
 


学部関係者それぞれが情報発信体に

先述のように、経済産業省がサービス人材育成の強化を掲げ、私たちの学部がそのモデル学部として取り上げられたことで、質問や問い合わせも数多くいただくなど、いろいろな意味で注目を集めています。しかしながら、学生、教職員、卒業生ら、学部関係者もまだまだ情報発信体になりきれていません。学部を宣伝するという意味ではなく、一人ひとりが表現者にならないと、この時代は生き抜いていけないということです。
大学の教職員という組織の枠組みではできないこともまだまだ多いので、教職員の組織も柔軟に変えながら創造していく、リノベーションしていくというのは、きわめて大きな課題です。
ですが、学部としてはまだ7年目に入ったところ。さあここから始まりますよ!
 
 

(*1)サービス経営学、50大学で 京大院に専門課程
 
(*2)ミーハー仕事術のススメ。/中村貞裕(株式会社トランジットジェネラルオフィス 代表取締役社長/プロデューサー)
(*3)もうひとりの君。/近藤薫 −千葉商科大学サービス創造学部・桐生南高校 共同企画「サービス創造熱血講座」−

 
 

<プロフィール>

吉田 優治(よしだ・ゆうじ)

000790専門:経営管理論・経営教育論・サービス創造論

1987年青山学院大学大学院経営学研究科博士課程修了。同年、稚内北星学園短期大学経営情報学科専任講師。1989年千葉商科大学商経学部専任講師に就任、助教授、教授を経て、2009年新設の「サービス創造学部」初代学部長・教授に就任、現在に至る。アメリカ経営学会・経営教育部会日本担当理事、2013年8月より全国ビジネス系大学教育会議会長。アメリカ経営学会よりアワード(2001~2008年)、韓国経営教育学会より学術賞(2009年)、日本マネジメント学会から国際貢献表彰(2013年)など。2000年ボストン日本人研究者交流会(Boston Japanese Researchers Forum)設立。

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