千葉商科大学サービス創造学部では、学部生が企画・実践する「プロジェクト活動」が、学びの特徴のひとつになっている。単位の出る公式なものから自主的に参加するその他のプロジェクトまで、数多くの学生たちが参加するプロジェクト活動を学部長はどう見ているのか(タイトル写真はプロジェクト大賞を受賞したパーティ・プロジェクトのメンバーたち)。


サービスの実践からサービスの創造へ

サービス創造学部では、学生プロジェクトという形で、さまざまな企画を実践し活動しています。2013年度の学部オフィシャルプロジェクトとしては、「千葉ロッテ・プロジェクト」「パーティ・プロジェクト」「旅行プロジェクト」「コミュニティカフェ・プロジェクト」があり、その他にも、「OUR WEDDING PROJECT」「GO!GO! 千葉ジェッツ・プロジェクト」「沖縄リゾートウェディング・プロジェクト」などさまざまなプロジェクトが行われました。
1月の「プロジェクト報告会」では、各プロジェクトのメンバーが1年間の活動についてプレゼンし、年間を通してもっとも活躍したプロジェクトと学生たちが表彰されました。
自分たちでアイデアを出して、協働して実現していくことは難しいことです。彼らが自分たちで考え、自分たちで動くように育っていることは有意義だと思っています。
私たちの学部は「サービス」学部ではなく「サービス創造」学部です。ですから、ただ真似るだけではなく、もう一歩先に進まなければなりません。すでにあるサービスをなぞって実践できるようになっても、サービスのイノベーションというところまではまだまだ到達していないというのが現状です。
アイデアを出すのは決して簡単ではありません。企業でも、誰しもがイノベーティブなアイデアを持っているわけではない、というのが現実です。でも、そこから殻を破って一歩先に進んでほしい。学生たちの間で新しいサービスのアイデアに関する競争がもっともっと活発になるといいですね。
言葉にすると簡単ですが、非常に難しいことです。古文や漢文などいわゆる受験に必要な教科を学んでいるだけで、新しいサービスのアイデアを創り出す力は育まれません。「他人と違う学び方をする」「他人と違う経験を積む」「他人と違うモチベーションを持つ」といったさまざまな知見が必要になります。

 

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プロジェクト大賞のパーティ・プロジェクトにはトロフィーが贈られた。
 


いかに学生の心を揺さぶれるか

私たちの学部では、現在50以上の公式サポーター企業と連携し、プロジェクト活動やさまざまな講義を通してご協力いただいています。
今後の学生プロジェクトに関しては、企業との連携にとどまらず、とがった「人」、とがった「大学」とも積極的に連携を図りながら活動していきたいと思います。たとえば、自ら会社を興した起業家のみなさんと連携することによって、より革新的な思考に触れることが期待できるでしょう。美術や音楽や最先端の技術といった全く異なるジャンルの大学生などとも連携することによって、イノベーティブなアイデア創造に必要な刺激を得ることができるかもしれません。
いかに「学生の心が揺さぶられるか」だと思うんです。学生ができることをただやらせているだけでは大きな成長は望めません。先端的な人々とどれだけ接触させられるかが私たちの仕事だと考えています。


「活動から学ぶ」はまだまだ進化中

私たちの学部では、「学問から学ぶ」「企業から学ぶ」「活動から学ぶ」の3つの学びを学部の育成方針としています。これまでは、これらをバランスよく学ぶことが重要だと言ってきたのですが、今はちょっと違うなと思うようになりました。
「学問」や「企業」からの学びを生かして「活動」を実践し、そこで出た問題点を、「学問」や「企業」からの学びに戻って見つめ直す。学び直し、再び活動に生かす。この循環こそが大切だと気づいたんです。
「活動から学ぶ」のプロジェクト活動に関しては進化中です。それだけにまだまだ可能性も大きいと言えるでしょう。
まずは、教員自身がもっと成長し、もっとチャレンジしていかなくてはいけないと考えています。教員が「学生のやることだから」と言うだけではなく、教員と学生とが一丸となって、より高みを目指して挑戦していきたいですね。
また、卒業生たちが大学に戻ってくる機会も増やしたいですね。学生時代の学びが社会でどのように生きているか、また社会に出てどんな新たな経験を得たかを、自分たちの言葉で後輩たちに伝えてもらいたいです。
プロジェクト活動に積極的にかかわってきた学生たちの一部の成長には、目を見張るものがあります。より多くの学生たちにプロジェクト活動からの学びをぜひ生かしてほしいと思います。そして将来的に、「自らサービスを創造して起業したい」という学生が出てくるようになるとますますうれしいですね。

 
 

<プロフィール>

吉田 優治(よしだ・ゆうじ)

000790専門:経営管理論・経営教育論・サービス創造論

1987年青山学院大学大学院経営学研究科博士課程修了。同年、稚内北星学園短期大学経営情報学科専任講師。1989年千葉商科大学商経学部専任講師に就任、助教授、教授を経て、2009年新設の「サービス創造学部」初代学部長・教授に就任、現在に至る。アメリカ経営学会・経営教育部会日本担当理事、2013年8月より全国ビジネス系大学教育会議会長。アメリカ経営学会よりアワード(2001~2008年)、韓国経営教育学会より学術賞(2009年)、日本マネジメント学会から国際貢献表彰(2013年)など。2000年ボストン日本人研究者交流会(Boston Japanese Researchers Forum)設立。

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